沖縄県うるま市の陸自訓練場計画、保守・革新超えた撤回要求に発展…「丁寧な説明」求める声
沖縄県うるま市の陸自訓練場計画、保守・革新超えた撤回要求に発展…「丁寧な説明」求める声
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中国による台湾有事を念頭に沖縄県内で防衛力強化が図られる中、県民の間には急速な動きに対する反発が広がりつつある。うるま市での陸上自衛隊訓練場の整備計画には地元住民が抗議し、保守と革新の政治的立場を超えた「撤回要求」に発展した。自衛隊は約半世紀前の本土復帰時から地道に信頼を得てきた経緯があるだけに、民意の盛り上がりを懸念する県民からは、国に丁寧な説明と合意形成を求める声が上がっている。(横山潤)
予算化に反発
「訓練場反対の意思を届け、計画の白紙撤回に向け、最後まで頑張っていく」。3月20日、うるま市の石川会館に集まった1000人以上の住民らを前に力を込めたのは、保守系の中村正人市長だ。自民、公明両党の推薦を受けて2021年に初当選し、自衛隊の活動には理解を示してきた。
陸上自衛隊の第15旅団司令部がある那覇駐屯地。2027年度までの師団格上げが予定されている(1日、那覇市で)
しかし、陸自第15旅団(那覇市)を27年度までに師団に格上げして増員するのに伴い、訓練場を確保するために浮上した計画は、地元に説明なく予算化されて反発を呼んだ。予定地は民間ゴルフ場跡地で住宅地に近く、教育施設の「青少年の家」も隣接する。地元行政区が反対を表明すると、中村市長は防衛省に計画の白紙撤回を要請した。
反発は保革を超えて広がった。玉城デニー知事も見直しを求め、県議会も「住民や自治会にも知らされず発表された計画に県民の動揺は隠せない」として、政府に撤回を求める意見書を全会一致で可決した。
木原防衛相は撤回を否定しながらも、「住民生活を重視しなければいけないという観点から、土地の利用のあり方を検討していく」と見直しを示唆し、26年度にも着工する計画の見通しは厳しくなっている。
地道な活動
防衛省や県などによると、戦後27年間、米統治下に置かれた沖縄に初めて自衛隊施設ができたのは、本土復帰した1972年5月。那覇市に陸自那覇駐屯地の前身「那覇分屯地」など3施設が開設された。
陸上自衛官だった県防衛協会事務局長の山縣正明さん(77)は「復帰後しばらくは、(住民を守らなかった)旧日本軍の姿と重なり、自衛隊への信認は高くなかった」と語る。本土から赴任した隊員にものを投げたり、家族を差別したりするような県民もいたという。
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