小沢一郎氏が岸田首相にSNSで噛みつき久々に“拍手喝采”
小沢一郎氏が岸田首相にSNSで噛みつき久々に“拍手喝采” 影が薄くなった「剛腕」の現在
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立憲民主党の小沢一郎衆議院議員が、X(旧ツイッター)で岸田文雄首相を痛烈に批判したことが話題を集めている。かつては「剛腕」と呼ばれていた小沢氏だが、近年は存在感が薄れつつあっただけに、SNSでも驚きの声が上がった。
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8月18日、小沢氏は自身のXアカウントで日本経済新聞の記事「子育て世帯、22年に初の1000万割れ 経済不安が障壁に」を引用し、以下のように岸田首相を批判した。
《岸田総理は嘘と自慢でなく、もうだいぶ経つのだから、いい加減まともに仕事をすべき。ろくに仕事もせずに、宴会と外遊ばかりやって、ボロが出る前に自分の保身のために解散総選挙なんて許されない》
《とにかく外遊に次ぐ外遊。全国行脚はどうなったのか?総理に国民の生活は見えているか?ガソリン価格は異様に上昇。マイナカードはトラブルの嵐。聞かない力。国民の側も、自民党の言うことを聞く必要はない》
この投稿をネットニュース「よろず~」が記事にまとめ、YAHOO!ニュースで配信されたところ、コメント数は1931件(8月23日時点)にも上り、「小沢は好きじゃないけど、このコメントは評価に値する」「小沢一郎の言う事が確かに正解だ。岸田は国民が生きて行く先の目標をつぶしている」など称賛される書き込みが相次いだ。
時事通信が8月10日に発表した世論調査によると、岸田内閣の支持率はわずか26・2%。小沢氏の苦言は国民の気持ちを代弁した格好となり、それがSNS上で“拍手喝采”となったのだろう。
久しぶりの“小沢フィーバー”について、政治アナリストの伊藤惇夫氏はこう語る。
「小沢さんの投稿は、まさに正論です。腑に落ちる人も多かったはずで、だからこそネット上で歓迎されたのでしょう。とはいえ、発言の主は、あの小沢さんです。小沢さんは本当に特異な政治家であり、今回の投稿の真意を考えるには、やはり彼が何をしてきたのかを振り返る必要があると思います」
1989年、47歳の若さで自民党の幹事長の就任した小沢氏は、その後も権力の中枢で政局を操っていく。
93年6月に自民党を離党して新生党を作ると、7月の衆院選で自民党は単独過半数割れに陥った。非自民・非共産の連立政権が誕生し、細川護熙氏が首相の座に就いた。
そして、2009年7月には民主党が政権交代を果たす。小沢氏は衆院選の陣頭指揮を執り、新人候補は「小沢チルドレン」「小沢ガールズ」などと呼ばれた。
「小沢さんの本質は、政局の人です。ところが不思議なことに、政局を自在に操り、“敵”に対して勝利を収めそうになると、必ず致命的なミスを犯してしまう。相撲で例えれば、相手力士を土俵際まで追い詰めておきながら、なぜか『蹴手繰り(けたぐり)』を仕掛けて空振りしてしまい、形勢逆転して敗れてきました。民主党政権が失敗した“戦犯”の1人でもあります。2009年、政権交代前夜というタイミングで西松建設疑惑が発覚。公設秘書が逮捕され、小沢さんは党代表を辞任しました。後継を決める代表選で岡田克也さんと鳩山由紀夫さんが立候補。小沢さんは鳩山さんを選びました。なぜなら、岡田さんだと自分がコントロールできないからです。この判断が民主党政権にとって致命的だったことは、多くの人が今もご記憶でしょう」(伊藤氏)
一方、小沢氏に批判された岸田首相は、支持率の低迷にあえいでいる。伊藤氏は「小沢さんの批判がネット上で評価された理由の1つに、岸田首相の子育て支援を批判したことが挙げられます」と指摘する。
「岸田首相の少子化対策は根本的な錯誤があるのですが、少子化の原因は“小母化”です。結婚して子をなしたいという男女は多いにもかかわらず、彼らの年収が伸びないため諦めているのです。つまり岸田政権は結婚を希望している男女の収入を伸ばす施策を実行しなければなりません。ところが現実には単なる子育て支援に終始しています。子育て支援も重要な政策ですが、少子化を抜本的に解決するものではありません。岸田さんの政策は、一事が万事トンチンカンで、それを国民の多くが気づいているのです」
かなり逆風が吹いてきた岸田政権だが、それでも首相の座が揺らぐことはない、と伊藤氏はみる。
「安倍晋三元首相の時代、自民党の議員は首相に歯向かうと大変な目に遭うことを骨身に染みました。そのため沈黙を守っています。野党でも、維新は馬場伸幸代表が自党を『第2自民党』と表現するなど、与党と戦う意思は全く感じられません。小沢さんは野党統一候補の実現を求めて積極的に動いていますが、彼の神通力は12年に民主党を離党し、国民の生活が第一を結党した時点で終わりました。まさに与野党共に緊張感が欠如した政治状況が、岸田内閣の延命に寄与していると言えます」
結局のところ、政治家人生の重要局面で失敗を重ね、没落した小沢氏が、トップの器ではない岸田首相に噛みついた、という構図に過ぎないようだ。どっちもどっち、というところだろう。
「中選挙区制を賛美するつもりもありませんが、かつての政治家は奇人変人でも当選する可能性がありました。党ではなく派閥が中心で、自民党ではあちこちで激しい政策議論が交わされていたものです。ところが今は小選挙区制のため、議員の誰もが党本部の公認を得ることにきゅうきゅうとしています。上の方ばかり見ており、自民党議員のサラリーマン化が進んでいる。その“大先輩”が小沢さんと岸田首相です。2人に深い政策ビジョンなどはなく、やはり『どっちもどっち』という感想になってしまいます」(伊藤氏)
本当の意味で「国民の生活が第一」と考える政治家にこそ、政権を担ってもらいたいものだ。
(井荻稔)
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