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2022年1月12日 (水)

コロナ長期化で生活破綻が深刻化〜「女性による女性のための相談会」がレポート~レイバーネット日本より

コロナ長期化で生活破綻が深刻化〜「女性による女性のための相談会」がレポート


*写真は「女性による女性のための相談会実行委員会」提供

 

 女性による女性のための相談会が終了した。今後は相談者のフォローアップと報告書や報告会の準備、実行委員会からの政策提言などの議論、行政への要請などに取り組んでいくという。実行委員会はプレスリリースで、4日間の相談会を遡りまとめている。以下、紹介する。

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女性による女性のための相談会実行委員会

 2021年11月2日、政府が閣議決定した自殺対策白書からは、女性の自殺率が増加したことがわかりました。さらに12月29日には、新宿区歌舞伎町で子ども2人と無理心中を図ろうとした女性が、あやまって息子を転落死させてしまい逮捕される事件がありました。
 新型コロナウイルス感染拡大防止のために事業所が営業自粛や閉鎖に追い込まれる中、女性たちは仕事も生活も追われ、孤立が深刻化しています。
 2021年クリスマスから22年正月休みまでの間、都内各所では相談会が実施されましたが、炊き出しや生活相談に並ぶ女性の姿は増加しています。
 男性には相談しにくい生活まわりの困りごとや、自分の悩みや不安があっても家族のことを優先させる女性は、自分のことを後回しにせざるを得ません。
 労働組合、市民団体、弁護士会など女性有志が本相談会実行委員会が設立して1年が経とうとしていますが、状況は悪化の一途をたどるばかりです。
 「女性による女性のための相談会」では、相談(労働、生活、家庭/家族、心と体の健康、妊娠・出産など)を受け付けるだけでなく、生野菜や果物などの食糧や生理用品を含む生活必需品も配布しています。しかし、相談会に足を運ぶ女性の多くは、こうした一時的な支援と合わせて継続的に悩みを相談できる相手や居場所を必要としています。
 本実行委員会では、相談に来た女性たちへの伴走支援を目的として、2021年3月、7月、12月と相談会を実施してきました。

 

□主催:女性による女性のための相談会実行委員会
□後援:東京都/日本労働弁護団/日本労働弁護団女性労働P T /第二東京弁護士会
□相談会
日時:2021年12月25日、26日、2022年1月8日、9日の4日間に実施 <12月25日、1月8日は11:00-16:30(受付最終)、12月26日,1月9日は10:00-16:00(受付最終)>
場所:新宿区立大久保公園(東京都新宿区歌舞伎町2-43)の特設会場
相談内容:生活、労働、D V被害、性被害など
対応言語:やさしい日本語、英語、ベトナム語、手話対応
トランス女性の相談も受け付けている
□スタッフ、ボランティアの人数
・9日 実行委員会スタッフと当日ボランティア 計99人
・8日  実行委員会スタッフと当日ボランティア 計109人
・25日 実行委員会スタッフと当日ボランティア 計97人
・26日 実行委員会スタッフと当日ボランティア 計91人

<相談結果概要>
□相談件数
2022年1月9日:98件(17時現在) 託児7件
(新規48件、再来訪50件(2021年3月実施の相談会以降の再来場者)
2022年 1月 8日:115件(17時現在) 託児5件
2021年12月26日: 86件(17時現在) 託児5件
   12月25日: 83件(17時現在) 託児3件

 

□相談から見えてきたこと(相談事例)

 

(1月9日)
〔概要〕コロナ長期化でこれまでの生活が破綻してきている。何らかの疾患を抱えている相談者が多く、医療相談が多い。以前は医療機関で治療を受けていたが、失職するなどして治療費がなかったり、失職によって保険証の継続ができなかったりして、困っている事例が目立った。中には医療機関にかかれないため、以前に処方してもらっていた薬と同効果の市販薬を買おうと事例もあった。元々抱えていた女性が潜在的に抱えている「生きづらさ」に起因する相談が多い。ドメスティックバイオレンス(D V)や失業など、一人の女性が複数の問題を抱えている事例が目立つ。コロナによって相談会が開かれ、安心できる場所で女性たちが語り出し、表面化していると見られる。

 潜在的に、過去から続いてきた女性が抱えている困難が語られる場がなかった、聞いてくれる人もなかった。女性は夫や父親など周囲の男性に囲まれ、自分の抱えている問題を問題として見ずに、他人の問題解決が優先されてきたから。この相談会ではその必要性がないから境遇や思いを自由に話すことができる。受け止める姿勢と環境、雰囲気、人が、困難を抱える女性の自立とその支援には大事なことだ。

 相談者同士がカフェなどで交流する姿も見られた。女性があるが故に同様の困難を経験共有できるので、共感できて励まし合うことができる。

事例1 20代。コロナで父が単身赴任先から帰宅。父からのモラハラを受けており、家を出たい。賃金が安くて自活できないため、ひとり暮らしがかなわない。家を出て生活する方法を知りたい。

事例2 50代。父の暴力にあってPTSDで悩んできた。働いていたが仕事がなくなり、1年の路上生活をしていた。今は生活保護を受けているが、仕事に復帰できない。家族と不仲で連絡が取れない状態で孤立している。

事例3 30代。パート勤務をしていたが過重労働で精神不安定になっている。「病気になったら休んでいい」と相談員に言われて顔が明るくなった。パート労働者でも社会保険加入していれば、傷病手当金を受けとれるとは知らなかった。傷病手当を受け取りながら休めるのは正社員だけの権利だと思っていた。

事例4 40代。子供あり。生活保護受給中。仕事をしたくてハローワークで登録しているが、仕事が見つからない。面接までは行くが落とされている。どのように自己PRしてよいかどうか分からない。子供から自分の仕事が何をしているのかを聞かれても答えられず、苦しい気持ちになる。

事例5 30代。生活保護申請をして宿泊所を紹介されたが、そこは男性ばかりが暮らしており、プライバシー面で安全性がなく怖い。親と不仲。過去に路上生活の経験がある。安全な暮らしを求めている。

事例6 60代。ネットカフェ生活を1年以上している。金銭トラブルがあり、安定した暮らしを失った。前日(1月8日)に相談したことで安心できた。身だしなみを気にする余裕が生まれた。髪を切って化粧したいと思えるようになった。

(1月8日)
事例1 30代。アルバイト先が昨年つぶれた。かけ持ちパートで働いているが、帰宅時間が客次第で日による。生活が不規則になっているため、子どもに影響が心配。一時期夫の暴力もあった。

事例2 50代。昨秋から清掃の仕事がなく、失業保険もない。離婚したので、知人宅に仮住まいをしている。生活全般に不安を抱えている。仕事をもらえるよう、頼んでいるが、当分はなさそう。

事例3 60代。夫が失踪し離婚をしたいが、できない状態。離婚の手続きがわからないので教えて欲しい。

事例4 30代。高校を中退して、アルバイトを転々としてうちに、うつになった。病気のせいで仕事を続けられなくなった。障害者年金を継続できないと生活が立ち行かなくなる不安を持っている。

事例5 20代。大学院の研究がコロナで研究できず、卒業できないまま。子どもがいるので。

事例6 40代。夫の大声や暴言でひどく、離婚に向けて準備をしたいがどうしたらいいのか。

事例7 30代。フリーランスだが、コロナで仕事が減って、住宅確保給付金を受けた。他に受けられる支援がないか相談に来た。食料が不足しており、もらいに来た。

事例8 50代。仕事をしていたが、コロナで景気が悪く休んで欲しいと言われた。食料が欲しい。夫からの暴力から逃げて別居している。

事例9 40代。12月の相談会に来た。短期契約のため、雇用が切られた。ハローワークに相談しても大丈夫かを確認したい。

(12月26日)
事例1 勤めていた会社が突然倒産した。業績は徐々に悪化していたようだが、経営側が突然倒産を決めた。退職者に退職金として数万円が支給されただけ。失業保険を受けているがもうすぐ期限がくる。再就職のため職業訓練を受けている。子どもがいる世帯だけでなく非課税世帯にも10万円給付があるという情報をもらったが、自分は知らなかった。

事例2 マイナンバーを登録しないと派遣会社へ登録できない。地元にいる家族と不仲で、マイナンバーカードを作れず、働きたいが働けない。

事例3 夫が病気で失職、在宅で機嫌が悪い。家のことをせず賭け事で金を使ってしまう。

事例4 子どもに発達障害があり面倒を見る必要がある。同居している両親は協力してくれない。自分だけに負担があって辛い。

事例5 生活保護申請に行ったが受け付けてもらえなかった。地方にある実家からは「帰ってくるな」と言われていて、帰れない。

事例6 バイトをしていたが、そこが悪徳企業で続けられなかった(トイレ時間拘束など)。収入が途絶えてしまい困っている。

事例7 自営業だがコロナで休業を余儀なくされた。休業給付金の支給を希望しているが、「条件を満たしていない、支給できない」と行政に言われた。要件を確認したい。

(12月25日)
事例1 30代。食料がない。ゲストハウスに住んでいる。数年前に大卒で正社員だったがクビになり、コンビニ等のアルバイトで食いつないでいたが、時給が安く、生活が成り立たない。深夜だと女性は夜働けない。食べていくことができない。着る服もなく、物資が欲しい。正社員を1年以上続けないと求職者支援制度を受けられないと思っていた。生活保護は受けたいが、受けられるかわからず不安で申請に行っていなかった。

事例2 40代。派遣社員。最近再就職が決まり、上司のパワハラがすごくて辞めたいが、失業保険を使えないか、制度利用の復活がないかを聞きに来た。一度就職すると個別援助ができないかを聞きに来た。他の支援制度が使いにくい。「住宅確保給付金」については、大家のハンコが必要であるため、失業状況で家賃が払えないと思われて、契約が更新されない不安がある。さまざまな制度を使おうとしたが使えない。支援金は条件が厳しいため受給資格があるかわからない。半年前まで働いているので、支援が得られないかもしれないと不安。

事例3 フリーランス。海外からの顧客向けの仕事がコロナで失った。フリーランス、個人事業主の休業補償、月次支援金がもらえるが、10月で制度が終わった。何が活用できるか情報がなくてわからない。子どもがいて就職活動が難しく、子育てしながらの就職が難しい。新規支援制度がこの先あるかどうかも不明。それが知りたくて相談に来た。

事例4 40代。高校生の息子が育てにくい。自分も持病があり常用雇用が難しい。生活が厳しいが、生活保護受給はハードルが高い。

事例5 30代。ネットカフェ、ゲストハウスに居住。無職。3、4年前、コールセンターの日雇い、会社都合で打ち切りに。仕事が欲しい。マルシェ希望。新宿、池袋の炊き出しは男性が多くて行きづらく、本日ここに来た。

事例6 30代。子供の体が弱い。自身も障害者で、子供の面倒を見るため働けない。

<全体の傾向>
□1月8日の相談
・お金がない人が増えて来ていて医者に行けないからか、健康相談が多い。
・全般的に生活保護を嫌う人が目立っていたのに、今回は積極的に申請したいという人が増えた。生活資金に困っているからではないか。
・子育て相談が多い。子どもを連れてくる女性が増えた。コロナで家にいる時間が多くなり、子育てに向き合わざるを得ないからではないか。子どもの発達障害についての相談や教育問題についての相談が目立った。
・全般的に女性だけなので、安心したという声はやはり多かった。
・相談にならない相談が多い。ただ話を聞いて欲しくて来場する女性が多い。

□12月26日の相談
・リピーターが多数。「昨日も来て、続きを話すために今日も」という人が多い。そのほか、3月や7月の相談会参加者もいる。
・防寒着のニーズが高い。会場に来る相談者は、多くが薄着(ウインドブレイカーに、ブラウスなど薄手のものを重ね着している)の人が多いので、コートを求める人が10人以上いた。その場で着て、サイズが合えばそのまま着て帰った。
・「ガス電気が止められている」などの事情の人がいた。その場合、レトルト食品やカップ麺など、湯を注ぐだけで食べられるものを提供した。「すぐ食べられるものがほしい」という人には、パンを提供した。「包丁がない」という人もいた。
・生理用品を無料配布したが、夜用ナプキンのニーズが高い。
・大人用紙おむつや尿取りパッドの寄付があり、それを必要としている人がいた。「行政は生理ナプキン無料配布に動くなどしているが、トイレは毎日の問題なので、そこの重要性も気づいてほしい」と要望があった。
・ほとんどの相談者は手があかぎれしていて、アルコール消毒が「染みる」と嫌がる。
・相談者の年齢層は、10代~80代。最多は働き盛りで子どもや親の世話の中心を担う世代だった。
・非正規雇用で、シフトが減って収入が激減した人が多い。手取り約15万、あるいは10万円になったという人も。生活レベルがギリギリでこれ以上は切り崩せない、という声が多かった。

□12月25日の相談
・複合的な悩みを抱えている女性が多く相談に来ている。生活困窮、仕事がない、住まいがない、携帯電話もない、人間関係もない。一人であらゆる問題を抱えて、こじれにこじれてきた。女性が抱える問題が社会から置き去りにされてきたからで、問題が解決せぬまま、行く先々で新たに問題が起きている。なぜかというと、行政や国が、女性が抱える問題を置き去りにしてきたからで、この問題にしっかり取り組まないと、女性労働者の自殺率が高いが、さらに深刻になる可能性がある。
・女性の問題を長年放置していたが、やっと浮き彫りになってきた。コロナ禍で女性不況と言われて、やっと女性が困ったと言えるようになったからだ。もっと深刻な状況が表面化するかもしれない。
・女性の人権がずっと疎かにされてきた。女は我慢しろ、耐えればいいと、蔑ろにされてきた。年齢を見てみると、相談者は20代から70代までいて、女性は「文句やものを言ってはいけない」ということを内面化させられてきた。雇用にしても、低賃金や非正規だったり、「コロナギリになっても、女性だと食い下がり、抵抗したりすることを学んでいない。生活に困っても、男性のように路上で生活することはできないので、日銭を稼ぐことくらいしかできない。
・今回3回目を迎えて、「女性による女性のための相談会」が信頼を得るようになり、相談者が心を開いて話せるようになってきたのか、より深刻な内容が噴出してきている。今後この相談会が恒常的に実施されるなら、もっと深刻な問題、状況が現れるかもしれない。

□相談者の声(レノンウオールの記入から)
<8日>
・コートや手袋、お花や野菜をもらいました。感謝。
・生理用品とても助かります。
・なかなかこういうところへ来る機会がありませんでしたが、来てよかった。
・スタッフが優しくて心が温まりました。
・いつも相談に乗っていただいて、覚えてもらい嬉しかった。
・色々疑問があって毎日きてしまった。安心スペースで助かります。
・辛い人生。話を聞いてくれただけでがんばって来たよかった。
・食べることに困っています。助かりました。ありがとうございました。

<26日>
・話せて気持ちがラクになりました。
・新しいきっかけを与えてもらえました。
・友人から聞いて初めて来ました。皆さんお優しくてびっくりしました

<25日>
・明るい雰囲気でホッとした。
・いっぱいの食材ありがとうございました。年末年始で美味しく食べさせていただきます。
・7月も参加させていただいた者です。お話を聞いていただけたこと、感謝申し上げます。
・前回頂いたお野菜があまりに美味しく、家族皆大喜びでした。また頂けたらという思いでやってまいりました。
・女性の応対や気遣いがとても嬉しかったです。
・初めてなので、いろんな品物をいただいて、とても嬉しく助かります

□実行委員、ボランティアからの報告
・精神疾患を抱えていたり、DV被害を受けている人が本当に多い。
・親と関係が断絶していたり、相互に助けあえる関係にない人が孤立している。
・防寒具がこんなに求められると思わなかった。想像以上だった。
・相談相手が男性だと不安で率直に相談することができない。ここでは女性が相手なので安心していろいろな話を聴いていただける、という意見をいただいた。
・新卒で就職をしたが、職場のトラブルで会社を辞めて非正規になった方は、一度仕事を失うと再就職が難しい。友人への連絡もためらわれ、つながりも薄くなり、頼れる人がいなくなっている。非正規の職場も続けて働くことができないので、精神的に辛くなり、ますます再就職できない。
・家賃の高い賃貸に住んでいて仕事がなくなるが、引っ越しをするお金や気力もない。
・物資提供の情報が行き届いていて、マルシェを目的にして相談に来られる方も多かった。生活用品の中では、洋服の需要が多かった。洋服、防寒着を求める人が多く、足らないぐらいの状態。マフラーや手袋は1日目の午前ですべて出払った。有志の提供なので、サイズや防寒などニーズに追いつかない部分があった。相談者からは洋服の悩みも多かった。バイトでも着るTシャツについて、色などの指定がある場合が多い。クリーニングが自腹のところがあるという悩みも寄せられた。
・カフェではリピーターの相談者もいて、相談会開催の情報が定着している感じを受けた。
・開始前から待っている相談者もいた。
・相続などについて、法律相談ができる場所がわからない、費用の不安があるということで、相談会では安心して相談できたと言われた。公的に法律の相談ができる場が必要と実感した。
・法律相談でも生活の相談もあった。相談者からは、ただ話しができるということが喜ばれた。
・視覚障害を持たれた方から相談を受けて、社会に見捨てられたと感じているようだった。家族の相談を弁護士にしても、見下されて相手にされないと感じたことがあるという話もあった。この相談会では弁護士相談が無料だが丁寧に話を聴いてくれた。自分も何か手伝いができないかと思った。会場では笑顔があふれていて元気をもらった。

□マルシェコーナーで配布した物資
・生理用品、消毒グッズ、生理用ショーツ、果物類、野菜類(大根、キャベツ、ジャガイモ)、調味料、餅 衣服など

□キッズコーナー設置(絵本などを用意)

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