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2021年9月 5日 (日)

「自爆のぶん投げ」の全真相 万策つきた菅首相、辞任の必然<上>

「自爆のぶん投げ」の全真相 万策つきた菅首相、辞任の必然<上>

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強権乱用で総スカン(C)共同通信社
強権乱用で総スカン(C)共同通信社
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この期に及んでコロナに専念などとほざく国民愚弄

「政界、一寸先は闇」を地で行く展開だ。自民党総裁選(17日告示、29日投開票)で再選するため、奇策も禁じ手もいとわなかった菅首相が3日突如、白旗。不出馬を表明した。事実上の退陣表明だ。ポストを譲り渡した安倍前首相と同様に新型コロナウイルス対策で失策を繰り返し、最後は政権をブン投げ。世紀の恥さらしの言い分はこうだ。

「首相となって1年、コロナ対策を中心とする課題に全力で取り組んできた。コロナ対策と総裁選の選挙活動には莫大なエネルギーが必要であり、両立できない。コロナ感染防止策に専念したいと判断した」

 この期に及んで「コロナに専念」とは、よく言えたものだ。一体いつ、全力でコロナ対策に取り組んだのか。

 肝いりの「GoToキャンペーン」で全国にウイルスをまき散らし、東京五輪強行で感染爆発を招いた張本人だ。ワクチン接種で感染拡大を抑え込めると信じ込み、抜本的なコロナ対策はおざなり。結果、医療崩壊をきたし、「自宅療養」の名目で放置され、医療を受けられずに孤独死するケースが相次いでいる。ゆるゆるの水際対策で感染力の強いデルタ株の流入を許したことから、菅政権下で約147万人が感染し、1万4000人超が命を落とした。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。

「内閣支持率が30%を割り込んで危険水域に突入したのは、菅政権が続けば命がいくらあっても足りないからです。菅首相は世論に追い詰められ、党内の求心力も失い、万策尽きて政権を投げだした。現職なのですから、総裁選の選挙活動をせずに公務に専念したとしても、世論に評価されていれば結果はついてきたはずです。弁解すべき内容すら持ち合わせていないから、不出馬表明もメチャクチャ。追い詰められたのは明白です」

 菅が得意とする人事権が及ばないマーケットの反応は極めて正直で、さっそく株が急上昇だ。不出馬が報じられると、日経平均株価は急騰。上げ幅は一時、600円超に拡大し、2カ月ぶりに2万9000円台を回復した。菅が売り材料だったということ。ポンコツが去るのは全国的な朗報である。

“寿命”が延びニンマリ(C)日刊ゲンダイ
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ぶち上げた人事もできなくなった無能の極み

 菅にトドメを刺したのは、見苦しさを通り越した異様なまでの悪あがきだ。3日の自民党総務会で役員人事の一任を取りつけ、6日にも実施する段取りだったのがパー。主流派閥の支持を得られない焦りから強権乱用で延命を図った揚げ句、総スカン状態に陥って「推薦人20人の確保すら危うくなった」(自民党関係者)というから、無能の極みである。

 菅の「必勝シナリオ」は、五輪メダルラッシュが生む熱狂で政権浮揚を図り、衆院選になだれ込んで勝利を収め、総裁選無投票再選で乗り切るというものだった。これが見事に崩壊すると、死に物狂いで謀略に走る。岸田前政調会長が名乗りを上げ、総裁選が回避できないと見るや、争点潰しを画策。党内から反発を買う二階幹事長を狙い撃ちした「総裁を除く党役員は1期1年、連続3期まで」とする岸田の党改革案を横取り。「二階切り」がキモの党役員人事を断行し、解散総選挙で総裁選を吹き飛ばそうとしたのである。

 まさに筋違いの悪手連発。安倍と麻生財務相へのアピール策だった「二階切り」で二階派をはじめとする党内の反感を買い、総裁選先送りの暴走プランには頼みの安倍までもが反対した。子飼いの小泉環境相にまで「踏み切れば自民党も終わる」とクギを刺される始末。派閥の支持は広がらないどころか、人も出してもらえないありさまだった。政治ジャーナリストの角谷浩一氏は言う。

「菅首相は得意としてきた人事で最後につまずいた。小泉環境相を幹事長、ワクチン担当を任せた河野行政改革相を政調会長に据えるなどの構想があったようですが、衆院選対策で人気者を寄せ集めればいいとの考えがミエミエ。玉砕した場合は責任を取らせられるのが分かっていながら、引き受けるモノ好きはそういないでしょう」

 迷走に迷走を重ねた果ての自爆。ご愁傷さまだ。

昨年の総裁選では5派閥が勝ち馬に乗れとばかりに菅支持に….(C)共同通信社
昨年の総裁選では5派閥が勝ち馬に乗れとばかりに菅支持に….(C)共同通信社
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言うまでもないが、こんなポンコツを談合で担いだ自民党も下野が当然

 ポンコツ首相を祭り上げてきた自民党の連中もどうかしている。

 昨年、安倍のブン投げを受けた後の総裁選では、二階がいち早く菅支持に動くと、麻生派が乗っかり、安倍の出身派閥である細田派も菅支持に回った。計5派閥が勝ち馬に乗れとばかりに菅支持に動いたのだった。

 結果、菅が圧勝すると、党4役に国対委員長を加えた5ポストは支持に回った5派閥にキレイに割り振られ、閣僚も派閥均衡で登用された。結局、ポスト欲しさで各派閥が、談合的に菅を担ぎ上げたに過ぎないのだ。

 菅は就任当初、「国民のために働く内閣」なんて胸を張っていたが、一体何をしてきたというのか。この1年間、新型コロナは猛威を振るい続け、国民の生活は悪化の一途をたどった。スズメの涙の支援金で自粛だけを求める無策。国民のために働いた形跡は何一つ見えない。

 自民党の責任も重大だ。コロナ失策の連発で支持率が急落すると、党内からは一気に「菅じゃ選挙に勝てない」と不満が噴出。談合でポンコツを誕生させておきながら、人気がなくなるとポイ捨てとは、呆れてものが言えない。これが腐敗堕落した自民党の正体なのだ。

 高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言う。

「今回は、失策続きの菅首相に自民党もスッカリ呆れてしまったということでしょうが、当然ながら、選んだのもまた自民党です。無能な人物を担ぎ上げた責任を棚に上げ、『選挙に勝てないから代えろ』というのは、あまりにご都合主義で無責任でしょう。結局、自民党議員は選挙での自らの当選が第一優先。また、いかにポストを回してもらえるかという欲望しか頭にないのです。国民不在にもほどがあります」

 腐った自民党は下野が当然だ。

次は【菅を担いだ連中がまだのさばり暗躍していた舞台裏

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