国民を見捨てた菅首相…「自宅療養」への方針転換で、これから起こる「大変な事態」
国民を見捨てた菅首相…「自宅療養」への方針転換で、これから起こる「大変な事態」
唐突な方針転換

〔PHOTO〕Gettyimages
新型コロナウイルスとたたかう砦=医療提供体制が、第五波の感染爆発で突き崩されようとしている。
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8月2日、政府は、急激な感染者増による医療崩壊を懸念し、入院制限を打ち出した。コロナ感染患者への対応を入院主体から自宅療養へシフトする重大な方針転換が、準備らしい準備もないまま唐突に決められたのである。
これまで感染者で38℃以上の発熱や呼吸苦の症状などがある中等症患者はもとより、軽症でも65歳以上の高齢者や、妊娠中の女性、基礎疾患のある人たちの入院は原則的に認められていた。無症状または軽症の人は宿泊(ホテル)療養が可能だった。
ところが、8月2日の関係閣僚会議の後、菅義偉首相は、感染者の急増地域での入院は「重症患者や重症化リスクの特に高い方」に絞り込み、それ以外は「自宅での療養を基本」とする、と表明した。発熱や呼吸苦があろうが、重症化リスクが特に高くないと判断されたら自宅療養となる。宿泊療養も「家庭内感染の恐れなどの事情がある人」に限定された。
田村憲久厚生労働大臣は、同月3日の記者会見で「フェーズが変わり、在宅での対応を考えざるを得ない状況」「中等症以上の症状の人が入院できる病床を常に確保しておくことが重要だ。病床にすぐに入ってもらえる余力を持てるよう対応しないといけない」と述べた。
菅首相に協力を求められた日本医師会の中川俊男会長は「医師が判断して入院が必要だということになれば、もちろん入院でいいと確認しましたので、全国の皆さん、現場でいろいろ心配していると思いますが、大丈夫です」と応じる。
と、まぁ政府中枢も、医師の代表も呑気なものだ。感染力が非常に高いデルタ株への置き換わりと、人流の抑制不足で感染爆発が起きている渦中で、しかもワクチン接種で病院、診療所が大童(おおわらわ)のときに自宅療養への支援は容易ではない。そもそも重症化リスクの基準は明示されておらず、自治体など現場の裁量に任される。不安と混乱を招きそうだ。
いま、首都圏は感染者の急増で入院調整が追いつかず、連日、大勢の患者が自宅療養を強いられている。政府の方針転換は現状を追認するための方便のようだ。
今年4月、第四波で大阪府が医療崩壊に陥り、自宅療養中の患者が次々と亡くなった。地元の診療所長に「なぜ、往診をしないのか」と聞くとこんな答えが返ってきた。
「一番の不安は、コロナの患者さんを診た経験がないことです。一応、診療のガイドラインはあって、軽症、中等症Ⅰ・Ⅱ、重症の分類基準はあるけど、それは机上論。軽症者が肺炎起こして、あっという間に中等症、重症に変わる。コロナの治療経験がある医師にレクチャーを受けて肌感覚で理解できないと手が出せません。
もしも往診した患者さんが悪化したら、どの病院がバックアップして受け入れてくれますか。診療所で重症患者は診られません。責任とれない。訴訟になったら潰れます。見通しも立たないのに不可能ですよ」
全国各地の医師会で、同じような懸念が浮上しているだろう。
一方で、現実に病床は逼迫し、自宅療養者は増え続けている。8月3日、東京都では入院・療養調整中の患者8417人を含む1万4019人が自宅療養を余儀なくされている。自宅に留め置かれた患者にどう医療を提供するかは重要なテーマだ。
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