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2021年3月 3日 (水)

クーデターとの闘いの先頭に立つミャンマーの労働者たち~レイバーネト日本より

クーデターとの闘いの先頭に立つミャンマーの労働者たち

ケビン・リン(Global Labor Justice- International Labor Rights Forum上級顧問)

 


*ヤンゴンのILO事務所前で抗議活動をするストライキ中の被服産業労働者たち

2月26日(金)深夜、ミャンマー軍は公共のテレビで同国の労働団体の多くを違法と宣言し、活動が続けば逮捕するとの脅しを掛けた。国際連帯活動が緊急に必要となっている。

2月1日、ミャンマー軍は選挙不正の疑いを口実にクーデターを起こし、選挙で選ばれた文民政府から政権を奪取した。クーデターの指導者たちは、政府トップの指導者や活動家を拘束し、インターネットを遮断し、飛行便を停止した。これにより、部分的な民主化を目指した10年に及ぶこの国の実験が、暗転し不確実なものとなった。

このクーデターはミャンマー国民が獲得した民主的な権利を脅かそうしている。工場労働者による戦闘的な闘争を通じてこの10年の間に強力な労働運動が構築されてきた。過去3週間にわたる公共部門・民間部門の労働者による職場放棄が拡大し、2月22日からのゼネストが行われ、クーデターに抵抗し、より強力な労働運動を築くための希望が芽生えてきている。

●労働者の反乱

クーデターが宣言されて間もなく、労働者と労働組合組織による大規模な市民的不服従運動が行われた。最初の運動の一つはクーデターの2日後、ミャンマー全土の50の町の110以上の病院や医療施設の労働者が最初に立ち上がり、ストライキを行った。ある政府系病院では、40人の医師の内38人と70人の看護師の内50人がストライキを行った。

「私たちが独裁政権の下で働くことはできません」と、最初のストライキの1つを率いた外科医であるチャウ・ジンさんは言う。「私たちは政権を倒すことができると確信しています。私たちは、ミン・アウン・フライング上級将軍(クーデター指導者)が辞任するまで、決して仕事には戻りません。誰も彼を指導者として認めていません。」

労働組合のナショナルセンターは迅速に動いた。ミャンマー最大のナショナルセンターであるミャンマー労働組合総連盟(CTUM)は、2月8日に最初のゼネストを呼びかけた。政府からの逮捕の脅しや抑圧の強化にもかかわらず、ごみ収集労働者、消防士、電力労働者、民間銀行員、被服産業労働者を含む幅広い部門の労働者がストライキの波を起こし、多くの労働者が街頭デモに参加した。

教師たちは生徒たちと一緒にいち早く運動に参加した。初等・高等教育や修道院学校をカバーする10万人規模のミャンマー教員連盟を含む7つの教員組合が、職場放棄を発表した。

ジャーナリストも職場放棄している。クーデターとメディアの自由への脅威に抗議して、ミャンマー記者協会のメンバーとミャンマー・タイムズ紙の十数名のジャーナリストが辞職した。

重要なのは、地方自治体や商務省、電力エネルギー省、運輸通信省、農業・畜産・灌漑省の職員がストライキに参加しており、この1週間で多くの部署が閑散とした状態になっていることだ。特に運輸部門に大きな打撃を与えた。ミャンマー国鉄(MR)の関係者によると、鉄道従業員の99%がストライキ中であり、鉄道サービスは停止されている。

ストライキ中の労働者は、軍の支配下にあるミャンマー石油・ガス企業、ミャンマーナショナル航空、鉱山、建設現場、被服産業工場、学校を閉鎖に追い込み、軍支配者に経済的打撃を与えている。食品・飲料製品、タバコ、娯楽産業、インターネットサービスプロバイダー、銀行、金融企業、病院、石油会社、卸売市場や小売業に対して消費者はボイコットを行い、軍の経済的権益に打撃を与えている。 軍は弾圧で対応してきている。平和的な抗議行動に参加した労働者や学生が逮捕され、軍は殺傷的な武器を行使し始め、すでに3人が死亡している。

●被服産業労働者が先頭に立つ

被服産業労働者は、クーデター指導者の厳しい警告にもかかわらず、いち早く路上抗議を呼びかけ、街頭行動を組織した。その結果、市民的不服従運動への信頼を高めるのに役立った。ミャンマーに拠点を置く労働者オーガナイザーのアンドリュー・ティレット・サックスは、「工場労働者、その多くは若い女性である被服産業労働者の姿は、一般大衆を深く鼓舞し、恐怖心を打ち砕き、現在見られる大規模な抗議とゼネストの触媒となったようです」と強調している。

「労働者と労働組合がヤンゴン(国内最大の都市)での運動の主要な力です」と、労働・人権活動家のテット・スウェ・ウィンさんは同意した。「工場から何千人もの労働者が街頭に出てきて集会をしているので国民の注目を集めています。労働者たちはこのような行動を取って危険に身をさらしています。労働者の指導者の多くは以前に解雇された経験があります。政府や工場のオーナーから弾圧されてきています。力はとても弱いが、非常に献身的です。」

公務員と民間の労働者とその労働組合が組織的に参加することが、市民不服従運動を前進させ、ミャンマーの未来を決定する最も重要な要素の一つである。

2月22日以降の最近のゼネストでは、ミャンマー社会の広い範囲の労働者が参加している。課題は、労働者の戦闘性をより強め、より多くの民間部門や未組織労働者の間でストライキ行動を増加させることである。

●なぜ国際的な連帯が重要なのか

今週初めに8人のCTUM指導者に逮捕状が出されるなど、軍による弾圧が強まる中、労働者とその労働組合の民主的権利を守るために、国際的な圧力がこれまで以上に急務となっている。

「国際的な支援は私たちにとって大きな意味を持ちます。」とテット・スェ・ウィンさんは述べている。「私たちの自由と権利を支持している人たちが海外にいることが分り、孤立していない、と感じさせてくれるからです。」

労働団体や人権団体はタイ、日本、香港、台湾、カンボジア、フィリピンなどでミャンマー大使館の外で抗議行動を組織し、クーデターを非難する連帯声明を発表している。 この運動が共鳴し、アジア各地でこれほどの支持を集めている理由を理解するのは難しいことではない。各国で抗議している人たちは、非民主的な支配と組合員や市民社会団体に対する継続的な弾圧という共通の課題に直面しているので、連帯を示しているのである。香港やタイなどでは最近、それぞれ大規模な民主的抗議運動が起きている。

●移住労働者

また、アジアの多くの国は、工場や建設業、漁業などでミャンマーからの出稼ぎ労働者が働いている。タイでは、推定300万人から400万人のミャンマーからの出稼ぎ労働者がおり、そのうち数十人がクーデター直後に、ミャンマー大使館前で抗議行動を連日行った。日本でも数百人のミャンマー人労働者が国連事務所前で抗議行動を行った。

●ブランドを圧力を掛ける

ミャンマー最大の被服産業労働組合であるミャンマー産業労連は、世界中の労働組合がミャンマーでビジネスを展開している衣料品ブランドに対し、クーデターを非難し、軍の利益に資する企業との関係を断つよう圧力を掛けるよう呼びかけている。また、労働者が抗議を理由に解雇されないように保護されることも求めている。

2億人の労働者を代表する10の国際産業別労働組合組織GUFは、ミャンマー軍の商業的利益に対して各国政府や企業が圧力を強めるよう働きかけることを、世界中の労働組合に呼びかけている。

米国やその他の国の労働組合や草の根の労働者が、ミャンマーの労働者と具体的な連帯を築くためには、呼びかけに積極的に応えて、クーデターを非難する声明を発表し、ミャンマーでビジネスを行っている企業にも抗議声明を出すように圧力を掛け、各企業がサプラチェーンを通じたミャンマー軍とのビジネス上のつながりを断ち切るよう圧力を掛ける必要がある。

ミャンマーの労働者は、直接行動が強力で、効果的であることを実証してきた。職場で組織化して戦闘的なストライキに参加したり、仕事を放棄して街頭デモに参加したりすることで、自らの民主的権利を守り、ミャンマーおよび世界中の労働者のためにより良い生活を勝ち取るために戦っている。ミャンマーの労働者は私たちの支援を必要としているし、またそれに値している。

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