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2021年1月11日 (月)

野上忠興氏が衆院選大予測「自民42議席減で菅首相は退陣」

野上忠興氏が衆院選大予測「自民42議席減で菅首相は退陣」

公開日: 更新日:


 

野上忠興氏(C)日刊ゲンダイ
野上忠興氏(C)日刊ゲンダイ
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 衆院議員は今年10月21日に任期満了を迎える。それまでに必ず総選挙が実施されるが、菅政権はここへきて逆風にさらされている。「自民敗北」は、あり得るのか。選挙情勢分析に定評のある政治評論家・野上忠興氏に話を聞いた。(聞き手=小塚かおる/日刊ゲンダイ)

■選挙は五輪後 勝敗ラインは単独で絶対安定多数

 誰が考えてもコロナ禍が、ある程度収束するまで選挙は難しい。菅首相自身も「まずは新型コロナウイルス対策に全力を尽くす」と言っています。机上では、来年度予算を3月中旬に上げて「春解散」ということも考えられますが、東京五輪があると仮定すれば、常識的には五輪後に時間を置かずに選挙をやって、自民党総裁選は「追認」という形でしょう。「五輪後総裁選吹き飛ばし解散」ですね。

 五輪が中止になった場合は、残り任期を全うして、解散は次の総理に譲るという可能性もなくはないですが、とにかく菅首相は五輪にかけ、ワクチンに期待しているのだと思います。「人類がコロナに打ち勝った」とうたい上げて成果をアピールするのでしょう。ただし、総裁選で「追認切符」を手にするためには、言わずもがな、衆院選でそこそこの数字(議席数)が必要となります。安倍前首相は責任を問われる勝敗ラインを「自民党が50以上、負けなければいい」と言っていました。しかし、現有議席は282ですから、50減なら232で、単独過半数(233)を割り込みます。与党で過半数を維持したとしても、それで勝利とはいえません。勝敗ラインは、せいぜい自民単独で絶対安定多数(261)確保、つまり、21議席減まで。「よく奮闘した」という格好に収まるのはこのラインでしょう。

■公明の組織弱体化が自民にも影響

 議席予測は<別表>の通りです。全選挙区を個別に分析し、自民党は現有から42議席減となりました。自民党自体も昨年12月の第1週に独自の情勢調査を行い、やはり40議席程度を減らすという結果だったと聞いています。

 世論調査で内閣支持率はガタ落ちなのに、自民党の支持率が堅調なのは、野党が相変わらず不甲斐ないからで、「平時」なら選挙で自民が負けることはありません。しかし、コロナ禍は命と生活に関わる問題であり、後手後手のコロナ対策への不満で有権者は鬱屈しています。

 さらには、有権者が首相の資質に疑問を抱き、桜を見る会や鶏卵汚職と不祥事も続いた。経済状況も厳しい。信を問うには最悪な状況です。いざ選挙となれば、自民支持者でも、選挙区は自民に投票しても、比例は自民に入れないという現象が起き得るのではないでしょうか。

 自民にとって、もうひとつ痛いのは、友党である公明党の組織の弱体化でしょうね。最盛期だった小泉時代の898万票(2005年衆院選比例)から前回は697万票(17年衆院選比例)まで200万票も減っています。これは、各選挙区で公明票をもらっている自民にも影響する。

 前回、野党候補と1万5000票差以内で勝利した自民議員は34人。公明票は表向き各選挙区に2万~2万5000票といわれますが、比例票を選挙区数で割ると、実質1万7000票程度になります。自民でギリギリ当選してきている34人は、公明票がしっかり出なければ落選の憂き目に遭うことになります。

 ただでさえ、自民議員の4割を占める3回生以下は、これまで「風」に乗って楽な選挙ばかりしてきた。後援会活動や党員集めもほとんどしていないツケが回ってくるということになります。

 選挙関係者の中には、自民が70議席くらい減らしてもおかしくないという見方もありますからね。

野上忠興氏の獲得議席予測(C)日刊ゲンダイ
野上忠興氏の獲得議席予測(C)日刊ゲンダイ
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4.25補選勝利で野党一本化に弾み

 野党については、共産党が候補者を降ろすかどうかが鍵です。吉川貴盛元農相の辞職に伴う北海道2区の補欠選挙(4月25日投開票)は、立憲民主党の候補に一本化することで調整が進みそうです。補選で野党が大勝すれば、他の選挙区での一本化にも弾みがつく。前回1万5000票差以内で負けたような選挙区は、野党がひっくり返すことになるでしょう。

 現状、立憲の支持率は低迷しています。直近の朝日新聞の世論調査でも、前回の6%が5%に落ちました。しかし、比例区の投票先では12%から14%にアップしています。政党支持率の約3倍です。ある与党の選挙関係者の言葉を借りれば、「選挙というのは自民党に入れたいか、入れたくないか」となります。このご時世に積極的に自民に投票したい人がいるのかどうか。特に無党派層は、そうでしょう。全国の有権者は約1億人。自民にお灸を据えようということで投票率が2ポイント上がっただけでも200万票増え、比例区への影響は大きい。

 野党の一本化に加わらない日本維新の会については、関西は強いものの、全国的な広がりはないとみています。東京でも候補者を擁立しますが、選挙区での当選は難しく、自民に投票したくないけれど、立憲にも入れたくないという保守票の受け皿にはなるでしょう。れいわ新選組は山本太郎代表の人気だけなので、選挙区と比例区で1人ずつ取れば御の字でしょう。

■東京、静岡で閣僚経験者が落選危機

 ブロック別では、北海道は立憲と共産の共闘が他ブロックより進んでいます。共産は北海道で比例1議席獲得を悲願にしています。前回、8000票強足りずに議席に届きませんでしたからね。

 今回は共産が選挙区で候補者を降ろす代わりに、立憲系の労組が比例で共産に協力するなどバーターがあるかもしれません。北海道は自治労を中心に労組が強いところですからね。そうなると自民は現有6議席から半減の可能性があります。

 東北は青森と山形以外は、自民にとって厳しい選挙となりそうです。コロナ禍の影響で野菜が大暴落して、農家は参っている。東北、新潟、長野は農家の「反乱」が起きやすい土壌。秋田、福島、岩手では、花の1区で自民が敗れる可能性があります。

 勝敗の行方を左右する首都圏については、自民党調査でも厳しい結果が出ているといいます。特に大票田の東京では自民は1区が厳しい。野党が候補者を一本化できれば、埼玉1区と千葉1区も自民現職が危なくなります。都市部は政治意識が高いので、「政府は何をやっているのか」という怒りが投票行動に結びつきやすいのです。東京は共産が候補者を降ろすかどうかで結果が大きく変わってくる。野党が一本化できれば、8区の石原伸晃元幹事長や14区の松島みどり元法相が敗れることも。24区の萩生田光一文科相も安泰ではありません。

 東海では静岡1区の上川陽子法相。後援会活動をおろそかにしていることが響いていると言われています。まだ野党が乱立しているので落選までは分かりませんが、大苦戦しそうです。

■山口では林待望論、安倍前首相は不出馬情報

 西日本では広島3区が話題です。公選法違反で起訴され公判中の河井克行元法相の選挙区に、公明が斉藤鉄夫副代表を擁立しました。これに地元の自民は反発していて、「もう自民党員を辞める」との声も出ていると聞いています。漁夫の利で野党が議席を獲得しそうです。公明は最悪ケースでは、広島3区に加え、北海道10区、神奈川6区、大阪3区の計4議席を落とす可能性があります。

 中四国、九州は波乱の少ないブロックですが、香川1区の平井卓也IT担当相は選挙があまり強くなく、波乱要因です。

 注目は、やはり山口。自民の河村建夫元官房長官の3区で、同じく自民の林芳正参院議員が立候補を模索しています。実は山口では、安倍政権が幕を下ろしたことで、林待望論がジリジリと増している実相があります。下手すれば、林氏が3区ではなく、安倍前首相の4区で出馬する可能性もないとはいえない。4区の大票田の下関市は、もともと林氏の地盤ですからね。

 安倍前首相については、再々登板はあり得ません。体調も、総理大臣のプレッシャーから解放され、ストレスがなくなって気分が良くなっているようですが、決して潰瘍性大腸炎の持病が良くなったわけではないと聞いています。そのため、安倍氏が衆院選に不出馬で政界引退する可能性も絶無ではないとの情報もあります。その場合、後継は弟の岸信夫防衛相の長男になるのか、兄の長男になるのか不確かですが、いずれにしても故・晋太郎から3代続けて安倍家が4区を確実に維持できるのかどうか。

 国会で虚偽答弁を繰り返した桜を見る会の件で、安倍氏は地元でもかなり評価を落としていますからね。(表あり)

▽のがみ・ただおき 1940年生まれ。64年早大政経学部卒。共同通信社横浜支局勤務後、政治部へ。佐藤栄作、田中角栄両首相番後、主に官邸・自民党を担当し、福田派・安倍派をカバー。政治部次長、整理部長、静岡支局長などを経て2000年からフリー。著書に「気骨 安倍晋三のDNA」(講談社)、「ドキュメント安倍晋三」(同)、「安倍晋三 沈黙の仮面」(小学館)などがある。

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