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2017年4月22日 (土)

いよいよ明日、安次富さんが神戸にやって来る 安次富・知花対談(下)

独立論を考える

―日本と沖縄との関係、とくに最近の政府のやり方。沖縄の人たちの間で、敵は日本政府だと見えてきたというお話でした

知花 沖縄の基地をなくするチャンスは何回かあった。アメリカは引いてもいいと。だけど日本政府の意向によって沖縄に基地が固定化されてきた。ヤマト政府の沖縄に対する構造的差別的政策だ。そこへの反発としての「独立」ということに、ぼくもシンパシーを持つよ。だけど具体的な運動としては、まだあまりわからん。
安次富 オール沖縄と琉球独立運動というのは違うからね。考え方が違うわけだ。だからオール沖縄に琉球独立の話は持ち込まないようにしている。別にそういう規約があるわけでもないけど、みんながわかって団結している。ぼくは、自己決定権というのは独立と通ずるところがあると認識している。独立はいずれあるべきだろうと思っている。どういう形態かは、これからいろいろ切磋琢磨されていくだろう。いろんな考えがあっていいわけ。あまり独立論の違いを批判する必要はないと思う。
沖縄の歴史を見るImg005_351と、日本政府との係わりでは絶えず捨て駒にされてきた。琉球併合、そのあとはうちーなーぐちと琉球文化を潰すことを明治政府がやった。師範学校の教師はほとんどヤマトンチュだった。そこで日本語を教える。卒業した生徒たちが教師として沖縄県内に赴任し、方言を使わせない教育をする。もちろん師範学校では皇民化教育がおこなわれた。沖縄は朝鮮支配などの試金石として植民地化されていった。
薩摩は琉球王朝を残すことによって経済的収奪をしたけれど、明治政権は植民地としての併合だった。琉球処分のときに、熊本鎮台の歩兵が400人、警察官も160人くらいが派遣されて、武力鎮圧した。沖縄戦もヤマト=国体維持の捨て石だった。「もう1回、アメリカに打撃を与えてから和平交渉を」というのが資料に残っている。広島に、さらに長崎に原爆が投下された。
その後の和平交渉で近衛首相が昭和天皇と協議し、沖縄を分断した。日本の国土は北海道、九州、四国、本州、この4つだと。奄美も琉球も、小笠原も入ってない。要するに植民地だったから。それが支配層の考え方だ。次に日本政府がとったのは、日本独立の代わりに奄美・沖縄をアメリカの植民地にしてもいいという天皇メッセージだ。そこから沖縄は過酷な米軍植民地支配を受けていく。そのつど日本の権力は沖縄に対する差別と分離・分断を発動してきた。そのことを沖縄側は歴史的事実として認識できてこなかった。最近は「沖縄は日本政府の国策によって絶えず利用されっぱなしだ」とわかってきた。
ぼくは「自治州」だと思っている。北海道もアイヌ自治州を作るべきだと思う。日本は単一民族国家じゃない、多民族国家だということを国民が認識しないと、権力側の策動に負けてしまう。日本は多民族国家として成り立っているのだと、反戦・平和運動などの中で広げていかないといけない。

多民族国家としての認識

安次富 ぼくはスコットランドみたいに住民投票で将来の沖縄を問うべきだと思う。「日本との関係がなければ沖縄は経済的に自立できない」というのは、作られた嘘っぱちだ。沖縄の経済界は東アジアとの経済交流をどんどんやっていけば成り立つと思っている。
今も観光客が東アジアから大勢来る。そこに米軍基地があること自体が異様だ。一度になくすことができなければ「まず普天間を返させる」、そして「次はどこだ」とやっていけばいい。アメリカは国家財政がピンチだから、「基地は持って帰りなさい。派遣費用も大変でしょう」と言ってやればいい。
知花 トランプは米軍駐留経費を日本はもっと負担せよと言ってくるだろう。いま「思いやり予算」は6700億円ほどだけど、それ以上の金額を彼らは請求してくるよ。それにたいする民衆の意識の問題だね。
安次富 だから多民族国家として認識が必要なわけだ。われわれは植民地人だというね。
知花 沖縄は圧倒的多数の自民党・安倍政権の言うことを聞かない唯一の場所だ。そこから「土人発言」が出てくる。眠っている差別意識が大阪の若い機動隊員にある。現場でぶつかるなかでストレスがたまって、ああいう言葉が出るわけだ。

安次富 そのヘイト・スピーチを大阪の知事が黙認し「ご苦労さん」と激励する。差別発言については無視だ。鶴保(沖縄担当相)も含めて、「差別用語ではない」とは論外だ。
知花 旧土人法は廃止したはずなのに根っこには残っている。
安次富 われわれは開き直っていい。「そうだ、オレたちはヤマトンチュじゃない。ウチナーンチュ」だと。
知花 この前、金城実と2人で大阪の部落解放センターに行った。「沖縄からきた土人です」と言うと笑っていたよ。差別の根っこは根強いものがある。これ(「土人」発言)を聞いたとき、ぼくは個人的には差別されたことがないが、日本と沖縄の関係には差別的な根っこが根強く残っていると痛感した。すさまじいなと思った。そういう話をした。

「誇りある豊かさ」

―先ほど沖縄の経済が東アジアとの関係で広がっているというお話でした。安倍政権の中国敵視政策によって緊張が高まるなかで、東アジアとの交流で発展する沖縄は重要な位置を持っています

安次富 当面は観光産業でしょうね。観光産業の基盤を広げていくことだね。それには沖縄の遠浅の海やサンゴ礁などの貴重な自然を大切に残していくことだ。観光業界と手を結び、大浦湾の自然を残し、ジュゴンを増やす。そして地産地消型のエコツーリズムだね。長寿になると言われるウチナー野菜を食べ、大浦湾や周辺で獲れる魚介類を食べてもらう。自然を生かした観光産業を追求していく。そこに文化がある。お土産の陶器、琉球紬、農産物などだね。トータルに見れば、それは東アジアだけじゃなくヤマトにも向かって言えるわけだ。沖縄をコンパスの中心にすれば、東アジアも大阪も東京も入っている。琉球王朝の時代はそうだった。そういう発想をもって将来の沖縄経済を見ていく。沖縄には生産工場がないと言っているが、別になくてもいいわけさ。
知花 知事選のスローガンは「イデオロギーよりもアイデンティティー」と、もう1つあった。「誇りある豊かさ」だ。自分たちの自立を守っていくんだ。選挙のとき、いつも自民党が「カスミを食って生きられるのか」と経済問題を主張してきた。それを翁長さんは、「保守は基地反対を言わなかった。『誇り』ということをかかげていなかった」「革新も経済のことを考えていなかった」と批判した。そこから「誇りある豊かさ」だと。それが翁長知事が言ってきたことですよ。これはいい言葉だと思ったね。それがオール沖縄のひとつだと思うよ。
1972年の観光は45万人くらい。今は約700万人、5千億円規模になっている。基地に頼る必要はないんだ。もちろん日本政府の交付金はあるよ。それは3千億円でしょ。だから、かりゆしビーチホテル、金秀、オキハムなどの経済人たちは胸を張って「基地反対」「基地は阻害要因だ」と言えるわけだよ。観光といえばアジアですよ。いまどんどん来ている。中国はまだまだだけど、香港、台湾からはいっぱい来るよ。

辺野古が正念場

キャンプ・シュワヴゲート前で抗議する人びと(12月17日 名護市内)

―最後に、今後の闘いに向けて一言お願いします

知花 辺野古や高江に基地を作らせるのか、それとも止められるのか。辺野古については、高江以上の広がりや質と深さをもった闘いができると思う。ぼくらも決意しているし、沖縄全体そうだと思う。これから沖縄はどう生きていくかということだから。基地のない沖縄を作っていくという、後世に恥じない、後世に残す今を生きていく。そういう闘いが問われていると思う。
安次富 辺野古が正念場になるのは間違いないですね。トランプ政権もでき、どういう正念場になるか、今はっきりは見えないけど、非暴力・不服従の抵抗、原則的な闘いは変わらない。現場で翁長県政を支えるような闘いをしていきたいということが一つ。それからトランプ政権が誕生し、2月以降に翁長知事も沖縄のメッセージを持って訪米すると言っている。われわれも同行し、別の場面で発言し行動する。そういう集会や闘いをどれだけアメリカ国内で作れるか。沖縄の思い、民意を伝える。アメリカに対して「普天間引き取ってほしい、雇用が生まれますよ」というような「大胆な展開」だってあり得るよ。
知花 そうだね。

東アジアに平和を

安次富 ぼくは去年ハワイのホノルルでIUCN(国際自然保護連合)の総会に参加した。沖縄県から安慶田副知事が参加した。韓国の済州島の知事やハワイ州知事も参加するシンポジウムを傍聴した。「自然を大事にする観光産業を作っていこう」「環境が大事だ」という趣旨でした。安慶田副知事も「辺野古に絶対基地を作らせない」と発言した。一つひとつの闘う核をつくって、もっと大きな輪にできる1年にしていきたいね。
沖縄の基地反対運動は地球的な規模の広がりをもって闘った方がいい。ぼくらは、「基地をグァムに持って行け」という立場にはないさ。そういう沖縄であるわけだ。やっぱり南太平洋の島々は、基地のない島々、非武装な島々をともに自らの手で創造していく。済州島もそうだね。そういう国際社会、東アジアの連帯、平和外交というのも課題としてある。
沖縄から米軍が引き揚げるとき、かわりに自衛隊の移駐を容認するのか。われわれは自衛隊もダメだという運動を作りきれるのかどうか。安倍政権は島嶼奪回作戦と称して、石垣、宮古、奄美、徳之島も含め自衛隊基地を作ろうとしている。琉球弧全体へ、全沖縄的な大規模な反基地・平和運動へつながっていくことが必要じゃないか。戦争(戦場)の対置にあるのは観光だと思います。
政府は、それを見ているから弾圧も激しくなる。高江はその先例だよ。弾圧に抗する運動、また弾圧を許さない大衆運動をどう作りあげるのか。これからの辺野古の課題でもある。東アジアに平和を、そういうメッセージを沖縄からどんどん発信する。世界規模の混乱の時期、どういう思想性が生まれてくるのか。これはわからんけど、必ず生まれてくるよね。動乱に対し平和、ぼくら沖縄の闘いが国際規模で結びつく。そういう兆しを作れるならいいね。

―長時間、ありがとうございました。

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