反貧困運動のすそ野の拡大を~秋口には藤田孝典講演会を実現しよう
「下流化・老人の貧困を生むこの社会の仕組みを変えよう」
18日には「こうちネットホップ主催」の講演会で、「下流老人―高齢者の貧困実態に迫る―」をテーマに、ベストセラー「下流老人」の著者・藤田孝典さん(NPO法人ほっとプラス代表理事)の講演を聴かせて頂きました。
講師のお話を直接聞くのは、昨年に続いて2度目ですが、以下のように、より詳しく聞かせて頂き、今後の取り組みの参考になりました。
日本の貧困率が16.1%と言われる中で高齢者は19.4パーセントで、高齢者の5人に1人は貧困状態にあると言われています。
高齢者の生活生活保護受給者数は毎年増加しており、生活保護を受けている世帯の半数以上が高齢者世帯になっています。
また生活保護基準相当で暮らす高齢者及びその恐れがある高齢者いわゆる下流老人が約700万人から1100万人いると類推され、今後も増える傾向にあることが指摘されました。
下流老人と言われる方々の日々は、家族や友人がおらず部屋にひきこもったままテレビを見て過ごしていたり、インスタント食品や見切り品の惣菜で飢えをしのぐなど3食をまともに取れず、また家賃が払えず、簡易宿泊所やネットカフェ、近所の公園などで漂流生活をし、さらには病気があるにもかかわらず、医療費が払えないため通院や入院治療を拒否し、痛みに苦しみながら自宅療養していると言う実態が顕在化しつつあります。
これらを特徴づけてみると「収入が少ない」「十分な貯蓄がない」「頼れる人がいない」という3つの「ない」を兼ね備えた下流老人の姿が浮かび上がってきます。
まず「収入が少ない」ということは、下流老人の多くは、低年金または無年金者が多く、年を追う毎に収支は悪化しています。
次に「十分な貯蓄がない」ということでいえば、多くの高齢者が数百万円の貯蓄しかなく、仮に65歳の時点で300万円の貯蓄があっても、高齢夫婦無職世帯であれば、約4年で底をつく計算になります。
そして、「頼れる人がいない」という事では、下流老人は気軽に相談できる相手がおらず生活に困窮しても外部に助けを求められない状態など、関係性の貧困も明らかになっており、社会的な孤立によって生じるリスクを抱えた一人暮らしの高齢者が急増している状況にあります。地域のつながりも希薄化しており、約4割の高齢者が孤立死を身近に感じていると言う調査結果もあるそうです。いずれにしても、下流老人の問題の本質としては、いちど落ちると、自力では解決困難なあらゆるセ-フティーネットを失った状態にあるからこそ社会問題として対策を講じる必要があるとのご指摘です。
そんな中で、働く高齢者の数は年々増え、65歳以上の雇用者数は約458万人で10年前と比べて2倍以上に増えており、国際的な比較の中でも高齢者の就業率は圧倒的に日本が多くなっています。
高齢者が働かざるを得ない理由は、収入が不足しているということに尽きるわけで、高齢期になっても多くの人が収入面から生活に対して不安を持っており、さらには年金額も減少していく中で、働かざるを得ない状況に追い込まれていると言えるのではないでしょうか。
しかし、多くの高齢者が低賃金労働に従事しており、働いてもけっして下流化が防げると言う状況にもならず、高齢者の過労が問題になっています。この国は、一億総活躍と言うことで高齢者にも過労を強いていると言うのが現状ではないでしょうか。
講師は、個人でできる下流化の防止策として「生活保護制度を正しく理解しておく」「社会保障・福祉制度のよりよい活用を図る」「地域社会へ積極的に参加する」「受援力を身に付けておく」ということを提起されましたが、これらも個人でやり切るには様々な壁があることも明らかです。
下流化・老人の貧困を生むのはこの社会です。
その社会の仕組みを徹底して変えていく、そんなことが突き付けられている内容のお話でした。(坂本重雄ブログより)
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