春はセンバツ~不来方高校と中村高校は啄木と秋水
昔からよく言ったもので、暑さ寒さも彼岸まで、「春はセンバツから」、そして神戸の春の便りはイカナゴのくぎ煮。昨日は神戸の脱原発行動、豊中の森友集会、それぞれ盛況だった。
さて今年のセンバツ大会だが、21世紀枠で部員10 人の岩手県不来方高校と、16 人の高知県中村高校が出場する。それぞれ過疎地にあり生徒数も少なく、そのため部員の上記の数。それでも中村高校は県大会では明徳義塾を破って優勝したが、四国大会では優勝できなかったため、21世紀枠出場ということになった。
実はこの2高、部員数が少ないだけでなく、私見ながら不思議な縁がある。不来方(こずかた)とはなかなか読みにくい名前だが、名前の由来は岩手の生んだ明治の天才歌人、石川啄木の「不来方の お城の庭に寝ころべば 空に吸われし 十五の心」という短歌にあると思う。他方中村高校は、人口減に悩む高知県の幡多(はた)郡の中心地=四万十市中村にあり、この地は大逆事件で死刑になった幸徳秋水の生誕地として知られる。
秋水と啄木。二人は直接の面識はなかったが、大逆事件での幸徳秋水らの死刑に激しく怒り、その死を悼み、大逆事件に触れる事すら犯罪視される時にも、彼らの最期を書き記そうと奔走したのが石川啄木だっだ。
その大逆事件から106年の春。期せずして不来方高校と中村高校がセンバツで甲子園に来て、昨日の開会式には同じグラウンドを踏んだ。
ただ新聞によれば、昨年の全日本学生音楽コンクール声楽部門で1位に輝き、この春不来方高校を卒業する女性が甲子園で独唱したのは「君が代」という。数万の観衆と選ばれし球児を前に、彼女が歌うにふさわしいもっと音楽性のある歌もあると思うに、歌う歌が「君が代」とは、啄木も「他国の領土を地図の上で黒々と塗り替えた時代も、100年後もこの国で歌う歌は君が代か」と嘆いているのではないか。
そんな思いはともかく、今日14時からは中村高校の試合。40年前には山沖投手で準優勝し、6年前には市長を先頭に「大逆事件100年、全国サミット」をやり、市役所には大逆事件の特別展示コーナーもある中村からは、バス80台を連ねて甲子園に応援に来る。そして関西一円の中村高校関係者、幡多郡出身者も甲子園に集う。死んだ兄が長く中村高校の野球部部長をしていた縁のある私も、もちろん応援に行く。(Mt)
第89回選抜高校野球大会の出場校を決める選考委員会が1月27日、毎日新聞大阪本社で開かれ、高知県勢の中村高校が「21世紀枠」で選出された。
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