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2017年1月28日 (土)

『この世界の片隅に』~大ヒット上映中

(シネマ案内)
戦争なびく社会に静かな怒り
『この世界の片隅に』
(監督 片渕須直 アニメ映画 2016年・126分 日本)

この作品は、こうの史代の漫画をそのまま映画化したもので、物語は原作どおりになっている。主人公は浦野すず。1925年、広島市江波町に生まれる。小さい頃、人さらいおばけにさらわれかけたり、座敷童子(わらし)に出くわしたり、ふしぎな体験をしている。すずは、夢想的でおっとり型、自己主張も控えめ『、絵を描くのが好きな女性だ。子ども時代をおくる広島での生活は、ほのぼのとした牧歌的な情景で描かれる。
1944年、すずは18歳で呉市の北條周作のもとに嫁ぐ。呉での生活は、日常のなかに戦争がある時代へと変わっていく。ここには大きな海軍工廠がある。1945年1月、呉でも空襲が始まり、戦争の足跡はすずの身近にも迫ってくる。兄の戦死、空襲で義父が負傷。地雷弾(時限爆弾)が爆発し、すずは、右手首を失う。8月6日、広島市に原爆が投下される。すずは鉢巻山のかなたに、不気味なきのこ雲をみる。8月15日、敗戦。男たちは設計図や軍事機密書類を燃やしている、かたや女たちは米を炊いている。10月、占領軍が呉にやってくる。海軍工廠は解体されていく。1946年1月、すずは広島の実家に帰る。母は原爆で即死、父も亡くなったことを知る。妹のすみは原爆症で苦しんでいる。
すずはこの時代を生きた。海軍基地のある町で、その取り巻く人々を通じて、戦時下の生活が私小説風に語られていく。戦争を翼賛するのでもなく、反対するのでもない。不自由な生活に不満をいだきつつも、つつましく、たくましく生きる。
生活では、衣食住がリアルにえがかれている。生活物資が不足する時代に、材料を工夫しながら食事をつくる。できたものがまずい時は、「まずい」と不満を言う。質素な生活のなかに、生きることの喜びが伝わってくる。
時代の語り口として、女性の視点が重視される。遊郭で働く白木りんという女性。戦後、焼け野原の広島で出くわした原爆孤児ヨーコ。弱者の視点から、個々のエピソードのなかに戦争になびく社会にたいして静かな怒りを感じとる。
すずの生きた時代は今日の情勢にも重なる。自衛隊が戦争をするために海外に行き、再び軍靴の響きが聞こえる。すずは、今日のわれわれでもある。本紙の読者は「この世界の片隅で」生き、戦争する国に抗っている。生きざまは違うが、わたしたちも同じように、この時代を豊かに生きている。戦争が日常であった時代を振り返りつつ、再びこのような時代にさせないために、この映画をみてもらいたい。(津田)

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コメント

映画はまだ観てませんが、原作はざっと読みました。これまでは、「名作」といわれる所謂「反戦」作品であっても、どうしても男性目線で、戦争のさなかにも「生活」があるということを置き忘れていた部分があったと思います。そうした日常生活の目線で戦争を語ることは、「反戦」かどうかをとやかくいうまでもなく、人が本当に望む生き方とは何かを示している。もちろん、「反戦じゃないからいい」という評価のされ方をしてしまう危険性はありますが。それは受け手の問題です。
それと、「この世界の片隅に」をみた方には、ぜひ山うたの「兎が二匹」をおすすめしたい。もうひとりの「廣島のすず」の物語です。

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