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2017年1月14日 (土)

,安次富さん・知花さん対談(中)

民意と民主主義

―民衆の意見にまったく耳を貸さないという政府に対し、どう闘っていくか。いま沖縄の闘いが、そのことに対する一つの手がかりを提示しているというお話でした

安次富 参議院選挙で勝ったところはもっと裾野を広げていくことを考えていかなければならない。福島だけでは窒息させられる。全国の問題として鹿児島からも新潟からも、福島に波及するような反原発運動が起こり得るだろうなと、ぼくは思う。安倍はインドと原子力協定を結んだけどベトナムでは頓挫した。被爆国が原発を推進するとは何事か。日本人民としては恥ずかしい話だよね。被曝者だけじゃなく国民がもっと気づくべきだ。福島の放射能は東京都民も浴びているんだよ。そのことに無自覚ではね。そこをどう撃って出るのか。
世界的に見ても安倍は安泰じゃないよ。イギリスがEUから抜けるとか、まさかトランプが大統領に当選するとは。これも民主主義かと思うけどね。また韓国をはじめ、ものすごい変動が国際的に起きている。
トランプが大統領になってから沖縄はどう闘うのか。これからの課題でもあるし、安倍政権も右往左往しているわけだ。沖縄としては稲嶺名護市長、翁長知事を支え、どうアメリカや日本政府とぶつかっていくのか。沖縄をどうアピールしていくのか。
ぼくは翁長さんが、わずか4分という時間だったけど、国連でアピールしたことは正しいと思う。これからもっとやってもらう。アメリカ市民の大半は沖縄なんか誰も知らないのだよ。オリバー・ストーンとかいろんな知識人たちが沖縄に注目し、アメリカで支援運動を始めてくれたというのも1つの成果だ。退役軍人のグループも、わずかな人数だけど動き出している。大事なことだ。そういう積み重ねをこれからもやっていかなくちゃならない。
アメリカ市民も混乱しているわけでしょ。大統領選挙が終わってから「トランプはおれたちの大統領じゃない」というデモをやっている。いままでのアメリカにないことだよ。
知花 選挙制度が悪いといったってトランプは選挙で勝った。それに対し、「おまえはおれたちの大統領じゃあない」と民衆が否定する。もう、そういう時代じゃなければいけないという状態。安倍も「民主主義だ」と言っているんだ。自分たちの方が数多いから、辺野古に基地を作るのが当然だと、日本全体としてそうなっているというわけだ。そりゃおかしいじゃないかと、ぼくらはぶつかっている。「民主主義」と言うだけでは問題は解決しないと思うよ。
安次富 民主主義という言い方もあるが、やっぱり民意だよ。琉球処分、琉球併合以降、沖縄は国策に翻弄されっぱなし。植民地的支配を受けてきた歴史だ。それにたいして選挙で沖縄の意思を示した。その民意は大きい。
知花 戦前の天皇制から、戦後も国益中心でやってきたわけよ。国益中心で戦争をし、経済発展をやり、その反動がもろもろ出てきている。それでいちばん潰されてきたのは沖縄の民権であるわけさ。
国権と民権ということについて言うとね、かつて明治時代に民権運動があったように、沖縄で謝花昇とかがやったように、日本全体で民権運動みたいなもの起こさんといかんよ。福島もそうだ。民衆の権利、生きる権利、そういう主張を出していくということが大事だと思うよ。
安次富 日本では「政治に無関心」というのが当たり前のごとく定着している。麻生が「ナチスの手法を学べ」と言ったが、10年、20年前だったらクビですよ。そうならないのは日本の民意の低さというか、「主権者は自分たちだ」ということがわからないのだね。支配者にとってはそれがいいわけだ。
知花 支配者はそうなるように仕向けてきたんだ、ずっとね。
安次富 だから彼らも民主主義と言うわけ。今の状態の方がいいからね。われわれが言う民主主義とは、「民意を守れ、民意を守らないものは民主主義ではない」ということだ。その区別化はしないと。権力側についている大手メデイアの壁を突破するには、われわれの民意を押し出すことだ。

独立論を考える

―日本と沖縄との関係、とくに最近の政府のやり方。沖縄の人たちの間で、敵は日本政府だと見えてきたというお話でした

知花 沖縄の基地をなくするチャンスは何回かあった。アメリカは引いてもいいと。だけど日本政府の意向によって沖縄に基地が固定化されてきた。ヤマト政府の沖縄に対する構造的差別的政策だ。そこへの反発としての「独立」ということに、ぼくもシンパシーを持つよ。だけど具体的な運動としては、まだあまりわからん。
安次富 オール沖縄と琉球独立運動というのは違うからね。考え方が違うわけだ。だからオール沖縄に琉球独立の話は持ち込まないようにしている。別にそういう規約があるわけでもないけど、みんながわかって団結している。ぼくは、自己決定権というのは独立と通ずるところがあると認識している。独立はいずれあるべきだろうと思っている。どういう形態かは、これからいろいろ切磋琢磨されていくだろう。いろんな考えがあっていいわけ。あまり独立論の違いを批判する必要はないと思う。
沖縄の歴史を見ると、日本政府との係わりでは絶えず捨て駒にされてきた。琉球併合、そのあとはうちーなーぐちと琉球文化を潰すことを明治政府がやった。師範学校の教師はほとんどヤマトンチュだった。そこで日本語を教える。卒業した生徒たちが教師として沖縄県内に赴任し、方言を使わせない教育をする。もちろん師範学校では皇民化教育がおこなわれた。沖縄は朝鮮支配などの試金石として植民地化されていった。
薩摩は琉球王朝を残すことによって経済的収奪をしたけれど、明治政権は植民地としての併合だった。琉球処分のときに、熊本鎮台の歩兵が400人、警察官も160人くらいが派遣されて、武力鎮圧した。沖縄戦もヤマト=国体維持の捨て石だった。「もう1回、アメリカに打撃を与えてから和平交渉を」というのが資料に残っている。広島に、さらに長崎に原爆が投下された。
その後の和平交渉で近衛首相が昭和天皇と協議し、沖縄を分断した。日本の国土は北海道、九州、四国、本州、この4つだと。奄美も琉球も、小笠原も入ってない。要するに植民地だったから。それが支配層の考え方だ。次に日本政府がとったのは、日本独立の代わりに奄美・沖縄をアメリカの植民地にしてもいいという天皇メッセージだ。そこから沖縄は過酷な米軍植民地支配を受けていく。そのつど日本の権力は沖縄に対する差別と分離・分断を発動してきた。そのことを沖縄側は歴史的事実として認識できてこなかった。最近は「沖縄は日本政府の国策によって絶えず利用されっぱなしだ」とわかってきた。
ぼくは「自治州」だと思っている。北海道もアイヌ自治州を作るべきだと思う。日本は単一民族国家じゃない、多民族国家だということを国民が認識しないと、権力側の策動に負けてしまう。日本は多民族国家として成り立っているのだと、反戦・平和運動などの中で広げていかないといけない。

多民族国家としての認識

安次富 ぼくはスコットランドみたいに住民投票で将来の沖縄を問うべきだと思う。「日本との関係がなければ沖縄は経済的に自立できない」というのは、作られた嘘っぱちだ。沖縄の経済界は東アジアとの経済交流をどんどんやっていけば成り立つと思っている。
今も観光客が東アジアから大勢来る。そこに米軍基地があること自体が異様だ。一度になくすことができなければ「まず普天間を返させる」、そして「次はどこだ」とやっていけばいい。アメリカは国家財政がピンチだから、「基地は持って帰りなさい。派遣費用も大変でしょう」と言ってやればいい。
知花 トランプは米軍駐留経費を日本はもっと負担せよと言ってくるだろう。いま「思いやり予算」は6700億円ほどだけど、それ以上の金額を彼らは請求してくるよ。それにたいする民衆の意識の問題だね。
安次富 だから多民族国家として認識が必要なわけだ。われわれは植民地人だというね。
知花 沖縄は圧倒的多数の自民党・安倍政権の言うことを聞かない唯一の場所だ。そこから「土人発言」が出てくる。眠っている差別意識が大阪の若い機動隊員にある。現場でぶつかるなかでストレスがたまって、ああいう言葉が出るわけだ。

安次富 そのヘイト・スピーチを大阪の知事が黙認し「ご苦労さん」と激励する。差別発言については無視だ。鶴保(沖縄担当相)も含めて、「差別用語ではない」とは論外だ。
知花 旧土人法は廃止したはずなのに根っこには残っている。
安次富 われわれは開き直っていい。「そうだ、オレたちはヤマトンチュじゃない。ウチナーンチュ」だと。
知花 この前、金城実と2人で大阪の部落解放センターに行った。「沖縄からきた土人です」と言うと笑っていたよ。差別の根っこは根強いものがある。これ(「土人」発言)を聞いたとき、ぼくは個人的には差別されたことがないが、日本と沖縄の関係には差別的な根っこが根強く残っていると痛感した。すさまじいなと思った。そういう話をした。

「誇りある豊かさ」

―先ほど沖縄の経済が東アジアとの関係で広がっているというお話でした。安倍政権の中国敵視政策によって緊張が高まるなかで、東アジアとの交流で発展する沖縄は重要な位置を持っています

安次富 当面は観光産業でしょうね。観光産業の基盤を広げていくことだね。それには沖縄の遠浅の海やサンゴ礁などの貴重な自然を大切に残していくことだ。観光業界と手を結び、大浦湾の自然を残し、ジュゴンを増やす。そして地産地消型のエコツーリズムだね。長寿になると言われるウチナー野菜を食べ、大浦湾や周辺で獲れる魚介類を食べてもらう。自然を生かした観光産業を追求していく。そこに文化がある。お土産の陶器、琉球紬、農産物などだね。トータルに見れば、それは東アジアだけじゃなくヤマトにも向かって言えるわけだ。沖縄をコンパスの中心にすれば、東アジアも大阪も東京も入っている。琉球王朝の時代はそうだった。そういう発想をもって将来の沖縄経済を見ていく。沖縄には生産工場がないと言っているが、別になくてもいいわけさ。
知花 知事選のスローガンは「イデオロギーよりもアイデンティティー」と、もう1つあった。「誇りある豊かさ」だ。自分たちの自立を守っていくんだ。選挙のとき、いつも自民党が「カスミを食って生きられるのか」と経済問題を主張してきた。それを翁長さんは、「保守は基地反対を言わなかった。『誇り』ということをかかげていなかった」「革新も経済のことを考えていなかった」と批判した。そこから「誇りある豊かさ」だと。それが翁長知事が言ってきたことですよ。これはいい言葉だと思ったね。それがオール沖縄のひとつだと思うよ。
1972年の観光は45万人くらい。今は約700万人、5千億円規模になっている。基地に頼る必要はないんだ。もちろん日本政府の交付金はあるよ。それは3千億円でしょ。だから、かりゆしビーチホテル、金秀、オキハムなどの経済人たちは胸を張って「基地反対」「基地は阻害要因だ」と言えるわけだよ。観光といえばアジアですよ。いまどんどん来ている。中国はまだまだだけど、香港、台湾からはいっぱい来るよ。(つづく)

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