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2016年9月18日 (日)

共謀罪創設攻撃にとどめを刺そう  永嶋靖久弁護士(『未来』207号への寄稿)

寄稿 弁護士 永嶋靖久
「テロ等準備罪」も共謀罪
法案の国会提出許すな

2003年初めて国会に提出された共謀罪法案は、以後、広範な市民の反対の声によって2009年までの間に3度にわたって廃案となった。
当時国会に提出された共謀罪法案(旧法案と呼ぶ)は、法定刑が死刑、無期若しくは長期4年以上の懲役あるいは禁錮刑の罪に当たる行為について、「団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を共謀」することを犯罪として処罰しようとした。その当時で600を越える罪に当たる行為について合意だけで処罰するものであり、市民運動や労働運動、会社組織なども含めてとめどなく処罰対象が広がり、思想処罰と紙一重の現代の治安維持法などと批判された。

批判を恐れる法務省

この共謀罪法案について、朝日新聞は8月26日付朝刊一面トップで「共謀罪 要件変え新設案 『テロ等準備罪』国会に提出検討」と報じた(新法案と呼ぶ)。27日にかけてマスコミは一斉に政府が9月26日召集の臨時国会にテロ対策の一環として法案提出を予定していると報じた。一部与党議員の間には法務省が検討中という法案の資料がすでに流布している。
ところが、政府は新法案の内容を公式には一切発表せず、菅官房長官も26日昼の記者会見で「懸念が根強いことも踏まえて法案の国会への提出は慎重に検討する」と述べるだけだ。法務省は新法案の内容が広く知られて批判にさらされることを恐れている。議論を封じたまま抜打ち的に国会提出して成立させようとしている。
法務省はなぜ批判を恐れているのか。それは名称と要件を変えたと言っても、その実質は新法案も旧法案と何ら変わりがないことを、法務省自身がよく知っているからだ。
法務省がまとめたとされる資料では、新法案を組織犯罪準備罪と呼んでいるが、その要件を次のように整理している。
「(1)対象となる犯罪は限定されている
①『組織的犯罪集団である団体』の活動として行われる犯罪であること
②犯罪の実行のための『組織』により行われる犯罪についての計画であること
③重大な犯罪(懲役・禁固4年以上の刑を科すことができる犯罪)であること
(2)計画は具体的・現実的な計画でなければならない
(3)計画に加えて、計画した犯罪の準備行為が行われることが必要」
そして「今回新たに『団体』を組織的犯罪集団に限定し、(3)の要件を付加」と説明している。
しかし、法務省の説明にしたがっても、「組織的犯罪集団である団体」が限定になっておらず、「犯罪の準備行為が行われること」が新たな要件になっていないなら、旧法案にたいする批判がそのまま新法案に妥当することになる。

「共謀」を「計画」と言い換え

旧法案では「共謀」と表現されていたものが、新法案では「計画」と表現されているが、ただの言い換えだ。「組織」によりおこなわれる犯罪の計画だけを処罰すると言っても、2人以上の間で行為の共謀があるとされれば、そこには行為に向けた「組織」が存在することにされてしまうから、「組織」は何のしばりにもならない。これは旧法案のままだ。
法務省のいう「重大な犯罪(懲役・禁固4年以上の刑を科すことができる犯罪)」も旧法案のままだ。公衆便所の落書き(建造物損壊)や万引き(窃盗)をはじめとして、旧法案当時で600以上、現在では700近くに及ぶ行為の相談に共謀罪が成立することになる。
また、「計画は具体的・現実的な計画でなければならない」というけれど、「漠然とした相談」「意気投合した程度」と「具体的・現実的な計画」は程度の問題だ。前者と後者をはっきりと区別することなど不可能だ。さらに、法務省自身が、旧法案当時、目くばせでも十分共謀が成立する場合があると国会で答弁している。

「組織犯罪者集団」とは

新しい要件という「組織的犯罪集団である団体」は何かの限定になっているか。「組織的犯罪集団」とは、その結合関係の基礎としての共同の目的が死刑若しくは無期若しくは長期4年以上の懲役若しくは禁固の刑が定められている罪等を実行することにある団体だ。
目的が4年以上の懲役・禁固の罪は前記のとおり600を越える。
そして、これらの行為を共謀すれば、その計画によって「その罪を実行することになる団体」が成立したと解することが可能だ。つまり、「組織的犯罪集団」も「団体」の言い換えにすぎないのだ。
では「犯罪の準備行為が行われること」は新たな要件として意味があるか。新法案でも犯罪は共謀それじたいによって成立している。準備行為は犯罪成立後の処罰の条件にすぎない。準備行為について共犯者同士の合意はいらないし、ほかの共謀者が知らなくても誰か一人が準備行為とみなされる行為をするだけで処罰できる。
朝日新聞が新法案を「組織的犯罪集団に係る実行準備行為を伴う犯罪遂行の計画罪」と報じて「組織的犯罪集団に係る犯罪の実行準備罪」と表現していないのはその意味だ。準備行為は犯罪の構成要件ではなく、だからこそ新法案も「計画(共謀)」罪であり、新法案を「準備罪」と呼ばせることは法務省のミスリードだ。また、何をもって準備行為とするかについて,何の限定もない。当該犯罪が現実に実行される可能性が高まったと捜査機関が認めれば足りる。
結局、旧法案も新法案も法律的にはその内容に変わりはない。新法案も名前を変えた共謀罪だ。新法案は、旧法案と同じように公衆便所の落書きの相談、万引きの相談、キセル乗車の相談等々をテロ対策として処罰する。反原発抗議行動の相談、新基地建設阻止の相談等々、広範な市民運動、労働運動をテロ対策として処罰する。

共謀罪は治安法制の要

治安維持法は国体の変革と私有財産の否認の思想を処罰した。では共謀罪はどのような思想を処罰するのか。共謀罪が処罰するのは「思想」ですらない。処罰されるのは「危険な相談」だ。いや、相談が危険なのだ。
今では、旧法案の国会提出当時にはなかった、大改悪された盗聴法や司法取引制度がある。与党は改憲発議可能の議席を手にして、この秋から改憲に向けて動き出す。共謀罪が成立すれば、改憲反対運動の弾圧に猛威をふるうだろう。
さらに、共謀罪は、単なる弾圧のひとつの装置や政策にとどまらない、恐怖と不安を基軸とする国民統合と治安法制の要となるかもしれない。戦争に向かう社会に投げ入れられた共謀罪は、人々の政治的自由や団結を抑圧することによってだけではなく、あるいはそれ以上に、張り巡らされた監視システムのもと、コミュニケーションの監視・分断・抑圧をもたらすものとして人と人との関係そのものに働きかけることで、社会のありかたを変え、そして社会をさらに大きく戦争へと進めてしまうかもしれない。
共謀罪新法案を国会に提出させてはならない。新法案の国会提出を狙う法務省と与党に抗議の集中を。

 

 

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