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2016年6月 4日 (土)

今度の選挙の争点は、社会福祉と憲法問題 一億総活躍のペテンを暴く~『未来』199号より

 

特集 安倍政権を斬る③ 森川 数馬
21世紀の貧困と国家改造(上)
安倍政権の一億総活躍社会

破産必至の「新・三本の矢」

「一億総活躍社会」は、安倍首相が自民党総裁に無投票で再選された昨年9月24日の記者会見において「新・三本の矢」とともに出された。今年1月の施政方針演説においては第3次安倍政権の骨格をなす方針と位置づけられた。
昨年9月の記者会見で安倍は「アベノミクスは第2ステージへ移る。めざすは『一億総活躍社会』だ。少子高齢化に歯止めをかけ、50年後も人口一億人を維持する」と述べた。この大方針の実現のための「新・三本の矢」であり、それに対応した3つの「目標」である。 安倍の発言を整理すると以下のようになる。
①「希望を生み出す強い経済」―GDP600兆円
現在は約500兆円の名目国内総生産(GDP)を2020年頃までに戦後最大の600兆円に引き上げる。IT・ロボットなど、生産性を高めるための投資や規制改革の推進。非正規社員と正社員の賃金格差をなくす「同一労働同一賃金」を実現し、個人消費を底上げする。この成長実現によって税収を増やし、以下の政策の原資を稼ぐ。
②「夢をつむぐ子育て支援」―希望出生率1・8。
第2の矢は、保育所を増やしたり、「子育て支援」。今の出生率は1・4程度だが、これを20年代半ばに「希望出生率(国民の希望がかなった場合の出生率)1・8」に高めることを目標とする。
③「安心につながる社会保障」―介護離職ゼロ
年間10万人を超えるという「介護離職者」を20年代初頭にゼロにする。特別養護老人ホーム(特養)の増設など、介護の受け皿づくりを急ぐ。また人手不足が深刻な介護労働の人材を確保するため、その処遇を改善する。
安倍政権は、この「新・三本の矢」の一部を「緊急対策」として15年度補正予算と16年度当初予算に盛り込んだ。5月には、中長期の「ニッポン一億総活躍プラン」をまとめる。この内容は1月の施政方針でも安倍は述べている。
この5~6月には、低年金者などへの支援金3万円の支給(補正予算で総額3900億円)を実施しようとしている。野党やマスコミからは「7月参院選目当てのバラマキ」「政府による選挙民の買収」と批判を浴びている。
政策全体についても、多くの識者から「いずれの目標も実現のハードルは高い」と指摘されており、経済界からは「ありえない数値」(小林喜光経済同友会代表幹事)と酷評されている。
保育・介護の現場からも「20年初頭に25万人が不足する介護人材の確保が前提」「平均より月11万円も少ない賃金のアップを」という批判が出されている。
15年実績で499兆円の名目GDPを2020年までに600兆円へ引き上げるためには毎年3%超の成長が必要となる。この数字は過去20年間で一度も達成できてない。第2次安倍政権による過去最大規模の金融緩和と財政出動によって、大企業は最高益をあげたと言われるが、13~15年の名目成長率は1・6%にすぎない。実質でみると過去3年で平均0・6%程度であり、到底「デフレ脱出」などということはできない。四半期単位ではゼロあるはマイナス成長となった期が複数ある。直近では15年第4四半期(10~12月)がマイナス成長となっており、どう考えても年率3%は実現不可能である。
「希望」「夢」「安心」という言葉だけが乱舞するアベノミクスによって、民衆の希望と夢と安心が奪われ続けている。「新・三本の矢」は、思いつきで打ち出したという性格が強く、政策として練られたものではない。多くのエコノミストが「(第1次「三本の矢」の)低迷の検証と成長の道筋を明らかにすべきだ」と言わざるをえない酷いしろものなのである。
このように最初からその破綻性が明白なものを政策化して強行すれば、必ず社会的破局をもたらす。端的にいえば「同一労働同一賃金」のもと、労働力不足を大量の低賃金労働者で補う社会の出現であり、「ワーキングプア(働く貧困)」の加速化である。それは民衆が「安倍政治からの脱却」を強烈に意識する転機となるだろう。すなわち新自由主義グローバリゼーションとのたたかいの中から生みだされる現代資本主義に対する根底的な批判の登場であり、新自由主義にかわる「新たな哲学」の創出である。そこから安倍政治にかわる「政治・社会」が創造される。

「政権交代の力学」の逆転

「一億総活躍社会」政策の具体論に入る前に、その政治的性格をつかむ必要がある。多くの識者やマスコミが「実現不可能」「デタラメ」というようなものがどうして出てきたのかということだ。そこに、安倍政権の暴走と破産の過程が如実にしめされている。
「一億総活躍社会」とは安倍「成長戦略」の第二版である。政権発足時に打ち出した「三本の矢」=アベノミクス(デフレ脱出策)の破産を糊塗するために打ち出されたものにすぎない。また、昨年9月の戦争法強行可決の直後に打ち出されたことが重要なポイントである。
アベノミクスは安倍政権の土台をなしている。これが生みだす「経済成長」「好景気」という空気と民主党政権時代への批判で高支持率を確保し、改憲をとおしてアメリカと並ぶグローバル国家への改造に進む。これがグローバル資本が安倍政権に託したミッション(使命)なのである。
それは民主党政権を誕生させた力学の転覆である。先の政権交代の根底には以下のような政治力学が動いたのであろう。
日本は90年代初頭のバブル崩壊によって長期にわたる低成長時代に突入した。その過程で、新自由主義が政治・経済・社会のなかで急進展した。それは03年イラク戦争への自衛隊派兵に象徴される日米軍事同盟の強化と同時に進行した。これらを強力に推進した小泉政権は、戦後憲法体制を土台から破壊していた。実質的な改憲状態の出現である。
しかし08年リーマンショックの爆発と「派遣村」の出現は、それまでに鬱積していた構造改革路線への民衆の怒りの起爆剤となった。それと沖縄の新基地建設反対闘争などが結合して、09年の政権交代が実現したのである。
当時民主党が掲げたスローガンは「生活が第一」である。それは当時の日本社会の改憲状態への批判と憲法体制の再構築をしめす路線でもあった。それが民心をつかんだのである。政権交代を実現した力学とは、民衆の新自由主義政策にたいする怒りと不安であり、世界に拡大する戦争とそれに呼応した改憲攻撃にたいする危機感であった。安倍政権の使命はこの「政権交代の力学」を逆転させることにあった。

ナチス的手法

12年末に登場した第2次安倍政権が掲げたのが「日本を、取り戻す。」というキャッチフレーズである。その内容は第1次安倍政権の「戦後レジームからの脱却」と同じである。また安倍は祖父である岸信介に自己を重ね合わせ、自民党のエートス(持続的な気風)を体現しているかのように演出しているところも安倍政権の特徴である。
これと一体で「デフレ脱出」を掲げた経済政策を大きく打ち出した。それが「日本再興戦略―JAPAN is BACK」(2013年)である。「世界で一番企業が活躍しやすい国」と改憲によって戦争のできる国になることが安倍の描く日本社会像である。
そして今や、「イノベーション型の経済成長」「一億総活躍、そうした新しい経済社会システムを創る挑戦」(1月施政方針)をかかげて、7月参院選挙で「3分の2」を獲得し改憲へ進もうとしているのだ。
かつてヒトラーが「ベルサイユ体制打破」を打ち出し、「『民族共同体』の情緒概念をもって『絆』を創りだそうとしただけではなく、経済的社会的実利を提供し、多くの人びとを体制の受益者、積極的担い手とする一種の『合意的独裁』をめざした」(石田勇治『ヒトラーとナチ・ドイツ』)ことと安倍政権への40%台の支持率の共通性をみることができるのではないだろうか。その後、ナチス・ドイツは第2次世界大戦とホロコーストへ向かっていった。

15年安保と安倍政権

「一億総活躍社会」は昨年の政治過程の産物である。
安倍政治の基調は「立憲主義の否定」である。昨年安倍政権がおこなった、安全保障関連法=戦争法の成立は、実質的な改憲への着手という一種の「クーデタ」の強行であった。これにたいして日本の民衆は〈15年安保闘争〉という歴史的なたたかいに立ち上がった。クーデタが〈民衆の反乱〉を生み出し、それが継続・深化している。それが08年派遣村以来の反貧困運動や「3・11」後の反原発運動と共鳴しながら新自由主義的グローバリゼーションに対抗し、資本主義にかわる新たな世界のイメージを創出しつつある。
そうした中でアベノミクスの失敗と破産が明確になっている。年明けの2週間連続の株価暴落。国会を揺るがした「保育園落ちた 日本死ね!!!」というネットへの投稿。アベノミクス破綻の兆候はすでに昨年夏までにあらわれていた。ほとんどの労働者は「トリクルダウン効果」を実感できず、その実質賃金は低下を続けていた。
ダーティ企業が社会問題化し、『下流老人』という本がベストセラーになるほど、子ども、若者、学生、女性など各層、各世代に広がる「貧困」。まさに20年にわたる新自由主義グローバリゼーションの進展が生みだした「21世紀の貧困」そのものである。
それは「人口減少」=労働力を再生産できないところまで資本主義の危機を進行させている。
このような文脈の中で、昨年9月、うちだされたのが「一億総活躍社会」である。担当大臣に側近の加藤勝信をすえ、10月29日、主要閣僚、経団連会長、日本総研理事長などでつくる「国民会議」を発足させた。すでに7回の会議を重ね、8回の意見交換会などをおこない、非正規若者労働者、介護労働者との懇談会もおこなっている。この5月には「ニッポン一億総活躍プラン」を策定するといわれている。政権としての命運をかけているといっていい。(つづく)

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