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2014年3月 2日 (日)

本と雑誌の紹介~安倍政権批判と3・11以降の社会運動のために(1)

 昨年末以来の安倍政権の極右・ナショナリズムの本性発揮・暴走ぶりに、左翼だけでなくリベラル・保守といった部分からも批判が行われている。当ブログでも安倍批判をおこなってきたが、より深い批判と3・11以降の社会運動の発展のために、これから何回か本と雑誌などの紹介を行っていく。

 まずは、『情況』1・2合併号(状況出版)。70年代から発行されてきた新左翼の雑誌だが、新左翼という言葉がほとんど聞かれなくなった現在でも気を吐いている硬派雑誌。 
 今号の特集は、安倍政権批判と、国家論。
 巻頭の八木沢二郎は70年代からの論者だが、昨今安倍政権批判で健筆をふるっている。特に、リーマンショックを経ての安倍の再登場に危機感を持ち、安倍政権の性格を改憲と天皇制にむけ統治形態の転換を図る政権と分析している。
 その上でアベノミクスの手法を、世界恐慌後の政友会が「今回の政戦の題目は明瞭。景気が好きか、不景気がすきか。働きたいか、失業したいか。生活の安定を望むか不安定を望むか。産業の振興か産業の破滅か」といって1932年の総選挙に大勝したこととアナロジーしながら、これに打ち勝つ現在の左派の奮闘を求めていることは、単なる論文を超えて、今を闘うわれわれの共通課題と言わねばならない。 
 また『情況』誌そのものが、「幅の広い協議体」を目指しているようで(大下編集長の編集後記)、それぞれ現代も闘う70年以来の論客の、三上治=元叛旗派、橋本利昭=革共同関西派、朝日健太郎=フロント、松平直彦=労働者共産党、(なお4氏の党派名は当ブログが勝手につけたものです)が原稿を寄せている。大下氏によれば、「朝日さんの特異性は、70年にわたるロシア・プロ独の樹立、崩壊を、「立憲主義」の観点から解明し、総括するところにある」とか。また「橋本さんは『国家と革命』は第7章が未完であるだけでなく、全編が未完としており、どうも橋本さんはレーニンを超えるレーニンを模索している節がある」と述べている。この大下氏の言が当たっているかどうかは、ぜひ『情況』誌を読んで検討してほしい。
 さらには『情況』誌としては、労働運動のシンポジュームも開催し、今後誌面に反映していくようで、こちらも注目。

 次に本の方は『日本の社会主義~原爆反対・原発推進の論理』(岩波現代全書・加藤哲郎著)を紹介する。この本はサブタイトルにあるように、日本の社会主義と原爆・原発の関係に絞って、幸徳秋水の時代から3・11福島原発事故の現在までを鋭角的にほり下げたものである。
 レーニン・トロツキー・コミンテルンからして、「共産主義とはソヴィエト権力プラス全国の電化である」という考え方・テーゼであり、生産力が資本主義を上回ることが共産主義の優位性とする考えは、核・原子力・原発の時代には、いとも簡単に原発推進になる。
 このコミンテルン32テーゼを原基とする日本共産党は、戦前講座派の論客で、戦後日本平和委員会会長であった平野義太郎を典型に、「平和利用論」を一貫して唱えている。それは3・11以降の今日も変わらず、大衆運動の現場で「原発ゼロ」を唱えることはあっても、本質的には「核エネルギーの平和利用」は変わらない。
 1978年には「わが党は、原子力そのものの開発、平和利用を核兵器と同列におき全面的に禁止すべきであるというような『反科学』の立場はとっていません」と、森瀧市郎・高木仁三郎らを批判した。チェルノブイリ以降の1990年には、「人類の英知の所産である原子力の平和利用」を唱え、「人類の放射性廃棄物をロケットに積んで太陽にぶちこむ。太陽は大きいから世界中の放射性廃棄物を全部送り込んでも『チュン』というくらい」とまで言っている。そしてこれらの言説は今日でも誤りとして撤回されたことはなく、2011年8月に至っても志位委員長は「平和利用の可能性」を語り、科学至上主義・生産力至上主義を「科学的社会主義」の名で説き続けている。
 ここまで頑迷な平和利用論が、この国の社会運動を支配し続けたことの今一つの原因には、武谷三男の誤り・ジグザグぶりや、社会党勢力を代表して政府に原発推進の政策提言を行ってきた有澤廣巳の誤りなどもこの本は鋭く指摘している。今日脱原発勢力が依然として7割をしめ、再稼働を阻止し、この国には半年近く1基の原発も稼働していないとはいえ、思想の次元において、根本のところで「社会主義勢力」がまいてきた「平和利用」論が克服されていないことだけは、改めてはっきりさせておかなくてはならない。
 3・11三周年を前に、まるで福島原発事故などなかったかのように再稼働へ舵を切る安倍政権に対して、あらゆる党派・政治勢力・社会運動が脱原発・原発ゼロを実現する運動を進めていかなくてはならないが、この次元の根本的掘り下げを忘れてはならない、と思う。今日的「混迷」を突破するために示唆に富む本で、ぜひ一読を進めたい。

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